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進化している避雷針!落雷から守る仕組みと最新の避雷針について

避雷針

自然災害から建物や人を保護する上で注意しなければならない災害の1つとして、落雷被害が挙げられます。人に直撃すれば死亡することも多く、現代は雷サージによる電子機器への被害も考慮する必要があります。

今回は、落雷対策の中でも最もポピュラーな避雷針について、そのメカニズムや種類をご紹介します。

落雷被害を防ぐ避雷針の仕組み

避雷針は、落雷による人的被害、物的被害を防止するために建物などの一番上に設置される装備です。避雷針を設置しておけばある程度の落雷被害を防止できるため、建築基準法や消防法などで、建物の高さが20mを超える場合は設置するよう義務付けられています。20mを超える建物には避雷針が設置されているため、個々人で落雷被害を受けないためには、雷注意報発令時にはできるだけ屋内にいることが重要となります。

避雷針は大きく分けて“雷を誘導して落とす”従来型の避雷針と、“落雷を発生させない”避雷針の2つの種類があります。

従来の避雷針

避雷針のイメージとして定着している細長い針状の避雷針は、フランクリンロッドと呼ばれるものです。アメリカの発明家ベンジャミン・フランクリンが1750年ごろに発明した世界で最初の避雷針であり、その仕組みは現在でもそのまま引き継がれています。

フランクリンロッドの避雷針は、落雷の前に先駆放電(ステップリーダ)が発生する雷のメカニズムを利用しています。雷はいきなり地表に落ちるのではなく、まず先駆放電と呼ばれる小さい放電を行います。次に、それに呼応するようにプラス電荷を帯電している地表のポイントから空へ向けて小さい放電が起きます。これをお迎え放電(ストリーマ)と言います。先駆放電とお迎え放電がつながったとき、その経路をたどるように大きな放電が起こり、落雷となるのです。

フランクリンロッドは針状の金属棒の先端からお迎え放電を放出することで、先駆放電との間に落雷の経路を作るようにしています。このようにして、地表の一定範囲に落ちる雷を避雷針に集めているのです。

フランクリンロッドの性能をさらに高めたものが、ESE避雷針(早期ストリーマ放出避雷針)です。ESE避雷針では地中にあるプラス電荷を溜めてより早くお迎え放電を放ち、フランクリンロッドよりも広い範囲の落雷を補足できるようにしています。

“落雷を発生させない”避雷針

雷を優先的に落として地面に逃がす従来の避雷針とは異なり、そもそも落雷を発生させないというコンセプトで開発されたのが、PDCE避雷針(消イオン容量型避雷針)です。2003年にヨーロッパのアンドラ公国で開発され、日本でも広がりを見せつつあります。日本でPDCE避雷針を採用している建造物として有名なのが、ブロンズ立像としては世界最大となる茨城県の牛久大仏です。

フランクリンロッドでは積極的にお迎え放電を放って落雷を捕まえていましたが、PDCE避雷針では上空のマイナス電荷と地上のプラス電荷を引き寄せ、そもそも避雷針の周辺からお迎え放電を放たないようにします。お迎え放電がないので、雷雲から地表への経路も作られず、落雷は発生しません。

PDCE避雷針も100%ではないものの、フランクリンロッドやESE避雷針に比べて落雷防止の確率が高く、またそもそも落雷を発生させないため人や物の安全をより確保しやすい避雷針となっています。

なぜPDCE避雷針のほうがいいのか?

従来のフランクリンロッドは1750年ごろの発明から現在まで使われ続けている優秀な仕組みですが、避雷針としての機能はPDCE避雷針のほうが優れているとされています。3つのポイントからその理由をご紹介します。

避雷確率の違い

フランクリンロッドがその保護範囲の落雷を引きつけられる確率は、天候や地形などの条件により左右されますが、およそ70~80%だと言われています。一方、PDCE避雷針は空中に発生する電流を約99%も中和するとされており、仕組みが違うことから正確な比較はできませんが、より安全性が高いことが分かります。

保護範囲の違い

PDCE避雷針は、フランクリンロッドよりも保護範囲が広くなる点も特徴です。こちらもさまざまな条件で変化しますが、フランクリンロッドの場合は金属棒の頂点から約60°の範囲内の落雷を引きつけるとされています。つまり、20mの高さの避雷針があった場合、地表だと半径34.6mの範囲を保護します。

一方、PDCE避雷針の場合、約27mの高さの避雷針で半径100mを保護します。こちらも正確な比較ではないですが、PDCE避雷針のほうが明らかに広いことが分かります。

建物内部の保護の違い

フランクリンロッドとPDCE避雷針の違いが最も現れるのは、建物内部の保護の違いです。フランクリンロッドでも避雷針で受けた雷の電流を地表に逃がす仕組みがありますが、電圧が強いと電流の一部が建物内に侵入し、電子機器に悪影響を及ぼすことがあります。

一方、PDCE避雷針は落雷を発生させない仕組みのため、落雷を抑止した時点で建物内部への被害もゼロとなります。さらには落雷箇所の周辺にも電流が流れる誘導雷も起きないため、避雷針としての効果は非常に高いとされています。

 PDCE避雷針を導入しよう

PDCE避雷針が開発されて普及してきたことで、落雷による被害は減少傾向にあると言われています。これから避雷針を導入する場合、あるいは落雷対策を強化したいと考えている場合は、ぜひPDCE避雷針を検討してみてください。

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