第六回 製造のためのBOM
「BOMとはマテリアルの数量的な関係を示した一覧表である」と、第一回でご説明しました。この定義に従えば、資材倉庫から製造現場に部品材料を払い出す際に用いる、ピッキング・リストもBOMの一種であることがわかります。こうしたピッキング・リストは、製造オーダー(製造指図)に付随して発行されるのが通常です。
ところで、この製造オーダーとBOMの関係を子細に見ていくと、いわゆる『E-BOMとM-BOMの乖離問題』が、しばしば浮かび上がってくるのです。設計部門がつくる部品表(E-BOM)に対し、製造側の部品表(M-BOM)が社内に別途存在し、両者が二元管理状態ないし乖離していく現象が、非常に多くのケースで見られます。

E-BOMとM-BOMが乖離していく理由はいろいろあります。たとえば、サプライヤー側の事情で、設計上指定された資材が手に入らず、やむなく工場で代替品を使いはじめ、それが恒常化していく場合があります。あるいは設計変更が行なわれたが、ストックを無駄にしたくないため、古い資材を使い続けている場合もあります。
逆に、資材の側はすでに性状が進歩しているにもかかわらず、設計の方がそれを反映していない場合もありそうです。さらには、複数購買をしているけれども、購入先によって全く同じ資材が供給されていない場合。設計に過剰なマージンや曖昧さがあって、使用すべき資材にいろいろな選択肢がある場合、等々・・。設計部門と製造部門で、同一品目に対して異なるマテリアル・コードを使っているケースも、ときどき見受けられます。

こうしてE-BOMとM-BOMが別々に一人歩きをはじめると、あちこちで歪みがでてきます。資材在庫の計画と実績があわなくなるかもしれません。出荷した製品のパーツが設計と異なっていて、アフターサービスができなくなることも考えられます。設計変更が製造現場に正しく伝わらなくなる。製造原価計算が混乱するかもしれません。
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