第三回 工程設計のためのBOM
前回の記事で、設計部品表E-BOMと購買部品表P-BOMは、ともにフラットなサマリー型BOMだとお話ししました。サマリー型BOMは部品購買と積算(標準原価計算)に有用です。しかし、親製品と子部品の2階層だけで表現しているため、様々な部品が、どのような加工を経て、またどのような順序で組み立てられていくのかについては、分かりません。いいかえると、サマリー型BOMは製造のプロセスを表現していないのです。

製造のプロセスを表現するには、原材料や購入部品から最終製品に至る複数の階層を表現した、ストラクチャー型BOMが必要です。ストラクチャー型BOMは、どの購入資材から何の製品を、どういった工程順序で作っていくのか、体系立てて表現したものです。

冷し中華の例でいうならば、上にのせる錦糸玉子の原料は、生卵と砂糖と酒少々です。まず生卵に砂糖と酒を加えて、油をしいたフライパンで薄く焼き、包丁で細切りにして、錦糸玉子ができあがる訳です。ストラクチャー型BOMの階層構造は、こういった材料の途中段階の順序(別の見方をすれば工程順)を表現します。

設計部門がE-BOMを作成し、購買部門がP-BOMに展開した後、階層構造の形で製造工程の情報をつけ加えたストラクチャー型BOMを、製造部品表M-BOM(Manufacturing Bill of Material)と呼びます。製造工程を最初から最後まで知っていないと、M-BOMは作成できません。
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