第七回 物流のためのBOM
物流業務においてBOMを考える際、とくに工場と独立した物流センターでの業務においては、SKU(Stock Keeping Unit)という概念を理解する必要があります。SKUとは、文字通り個別に保管する品目のことを指します。
たとえばアパレル業界などでは、同じモデル(デザイン)の衣服でも、色違いやサイズ違いのバリエーションが多数存在します。サイズ違いについては、シャツならば首周りと袖丈の組合せだけで、何十通りもできてしまうのが常です。こうした品目は、モデルが同じである限り価格も同じで、ふつう同一の商品コード(JANコード)を付番します。しかし、流通上は別物として区別しなければいけません。したがって、一つの品目が複数のSKUとして取り扱われます。

別の例をあげましょう。日用雑貨品業界などでは、同じ製品でも入り数をかえて複数のパッケージをつくります。製造側のマテリアル・マスタ上では、製品は単一の品目として扱われるかもしれません。しかし、販売物流の世界では、異なる入り数の商品は、別物としてハンドリングする必要があります。
シート・薄板など反物の場合も、ロール単位と、2m等の定尺に切ったものでは、流通上、区別しなければなりません。このように、保管・輸送などの物流にまつわる作業(これをマテリアル・ハンドリング、略してマテハンと呼びます)では、たとえ同一の品目であっても数量や包装形態によって、別物と認識する必要があります。これをSKUと呼ぶのです。

さて、物流センターの仕事は実際には多岐にわたっており、大規模なセンターの業務は事実上、工場と変わらないところもあります。とくに「物流加工」と呼ぶ作業の比重が増えているのが最近の傾向でしょう。
物流加工とは、工場の外に出てから行なう加工のことです。これは、大きく分けて3種類あります。
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