商品販売後のフォローも大切なスポーツ自転車の販売
近年、自転車は環境に優しく、健康でアクティブなライフスタイルにつながることから評価が高まり、移動手段の道具だけでなく、趣味でスポーツタイプを愛用する人も増えている。
サイクルヨーロッパジャパンが取り扱う自転車は、主にロードバイクやマウンテンバイクなどと呼ばれているスポーツタイプの自転車だ。昨今は通勤のモビリティとしても注目されてきている。
こうしたスポーツタイプの自転車は一般に自転車専門店で販売されることが多く、車種に関わらず製品管理やユーザーサポートなどに備えて1台ずつシリアルナンバーが振られ個体管理されている。リテール部スーパーバイザーの松原武彦氏によると、従来のPOSシステムはシリアルナンバーの管理がうまくいっておらず、基幹システムとの連携が不安定だったという。「本来であれば、商品はシリアルナンバーで管理され、そのデータをベースに在庫管理などを行うことが一般的です。しかし以前は、基幹システムとPOSシステムの連係が不十分であったため、条件によってシリアルナンバーと在庫が連係したりしなかったりすることがありました」と当時の問題を振り返る。
そのPOSシステムが導入されたのは5年ほど前。まだ展開店舗も5店だったので、それでも問題なく稼働できる規模だった。しかしその後の5年間で店舗数が増え、さらに同社が目指す事業展開も変わってきた。そこで思い切ってPOSシステムの刷新を決断、DAiKOの専門店向けPOSシステム「RetailFocus-L」を導入することになったのだ。
販売後のカルテ情報を一元管理
自転車も自動車同様、販売後に不具合が生じれば人命に関わる商品だ。そのため、販売後も正確な製品管理の継続が求められる。またフレームの強度不足など、メーカーから通知されるリコールへの対応などにも備え、同社でも販売車は1台ごとにカルテを作り、製品管理を行っている。
しかし、以前のPOSシステムではカスタマイズの幅が狭く、カルテ情報を一元管理する機能がなかった。また、お客さまが手書きしたオーダーシートから名前や住所をエクセルに入力し、シリアルナンバーと紐付けて管理していたため、記入漏れや入力ミスなどのリスクがあり、顧客フォローが万全とは言えなかったという。
今回のシステム刷新にあたり、松原氏は「一番のポイントは、わかりやすい操作性で安心して利用できるPOSシステムであること。そしてカルテによる顧客管理をしっかりとカスタマイズできることでした」と語る。
また、業務部IT担当の小熊昭男氏も、「大型規模店向けや個人店向けのPOSシステムは他社にありましたが、自社の運用に一番マッチするのは「RetailFocus-L」でしたと高く評価する。
さらに、一度購入した人は、点検依頼や部品購入などで継続して来店するようになることが多い。そのためカルテにはテキストデータで来店状況などのコメントが残せるようになっている。松原氏によると、「以前のシステムでもコメントを残す機能はありましたが、使いにくくて利用しきれていなかった」といい、「RetailFocus-L」の操作性についても評価する。
業務効率化で顧客満足度も向上
「RetailFocus-L」導入後は、基幹システムとPOSシステムとの連係がスムーズになり、業務が改善されたという。例えばシリアルナンバーが連係されていない商品を販売してしまったり、誤った商品コードで販売するなどのミスがなくなり、業務効率も大きく向上したという。
そしてこの業務効率の向上を、今後、お客さまの満足度の向上にも繋げていきたいと考えている。例えば、商品の会計時間の短縮だ。自転車は、ライトや鍵など購入前の本体には装着されておらず、本体と同時に購入する部品が多い。特にスポーツタイプの場合、ペダルやサドルなどのパーツまで自分好みのものをその場で選んでカスタマイズしていくのが一つの楽しみでもある。
そのため松原氏によれば、「販売時に読み込ませる商品の数は、一度の会計で20~30個になることもある」という。
こうした会計処理をスピーディーにするため、「RetailFocus-L」の予約機能をうまく活用し、当日は会計するだけで処理を終えるような運用も実施し、販売業務の効率化を実現している。
さらに小熊氏は、POSシステム活用の将来展望として「お客さまの購入傾向や、購入後の再来店の傾向を分析し、それをもとに商品をご提案やサービスの提供を行い、次の販売に繋げていきたいと思っています」と語る。
自転車販売のように複雑な販売業務に対応するには、細かい対応が可能な「RetailFocus-L」の導入により、サイクルヨーロッパジャパンでは、自社の業務ニーズに合わせたアップデートが実現した。
今後はさらにそれを進め、いっそうの業務効率とお客さま満足度の向上の両立を可能にしていくだろう。