会社設立と改正薬事法への対応でシステムを導入
骨折や火傷などの治療の際、骨や皮膚の欠損を補うために使用される人工骨、人口真皮。これらの生体材料の研究、開発、製造、販売を行っているのが、オリンパステルモバイオマテリアル株式会社だ。
もともとオリンパス株式会社の新事業の一部門としてスタートしたが、2004年9月に分社化。その後、テルモ株式会社の出資により整形外科・皮膚科領域にも進出、現在の社名に変更し、成長を続けている。
同社が会社設立時に導入したのが、販売管理システム『スーパーカクテル販売管理』だ。準備期間が設立までの半年間と短かったため、導入システムに求められた条件は、まず「最小限のカスタマイズで業務にフィットすること」だった。その点このシステムは、入庫―保管―出荷までの在庫情報はもちろん、そこにロット情報(製品番号、管理日付、備考等)を補足することで、製品の使用期限管理や製品番号管理も行える。そのうえ部品別管理や帳票出力などにも対応しており、応用がきく。
また、設立当時は薬事法が改正され、製品のトレーサビリティ(履歴追跡)の徹底が必要となった時期でもあり、それに対応できることも重要なポイントだった。
さらに同社では医療系ディーラーに製品を貸し出し、使用された製品分を販売実績として記録する販売方式をとっている。これは医療業界にはよくある方法だが、『スーパーカクテル販売管理』には、こうした業界特有の販売方法にも対応する“貸出管理”機能が搭載されている。これは2004年当時のシステムには珍しいものだった。
こうした条件をもとに複数のベンダーからの提案を検討し、同システムの採用が決定したが、もうひとつ大きな決め手があった。DAiKOが医療業界系のシステムのノウハウを持っていたことだ。業界や業務に対する知識の深さが、短期導入の、そして同社の業務を支えるための大きな力になった。

『スーパーカクテル販売管理』の操作性のよさも作業効率化に寄与している。

主力製品のひとつである人工『OSferion』。骨の損傷状態に合わせ、様々な大きさ、形状のものがラインナップされている。
1日1250分の出庫関連作業短縮など様々な効力を発揮
短期導入を実現するため、集中作業の苦労もあったが、2004年10月、『スーパーカクテル販売管理』は、無事稼働を開始。様々な効果を同社にもたらしているという。
オリンパスの一部門だった当時は、ディーラーからの商品貸し出しの申し込みをWebシステムで受け付けていた。しかし、これはディーラーと受注情報をやりとりするだけのもの。詳細なデータ管理は、システムの情報をエクセルに貼り付けたうえで行っていた。しかもやり取りの半数はシステム経由ではなくFAXのため、発送に使う送り状の作成や在庫の追跡などに多大な労力を割いていた。「システム導入後は、FAXでの申し込み分も、社内でデータを入力しさえすれば、一括で管理できるようになりました。送付状作成や発送手配も自動で行えるため、受注から発送までの作業時間が1件当たり15分程度だったものが、データ入力などにかかる7〜10分に短縮できました」
そう語るのは管理部 業務グループ チーフマネージャーの志和修仁氏だ。同社では現在、1日約250件の貸し出しや買取注文を受け付けている。1件あたり5分の作業時間が短縮されたため、250件×5分=1250分の作業時間が短縮できたことになる。
製品が今どこにあるのかをリアルタイムで確認することができ、製品のトレーサビリティも万全だ。
さらに、設立時の13種から900種と70倍にもなった取扱品目の急増にも、システムを活用することで対応できている。
こうした取扱品目の増加や最長5年に及ぶ長期貸出製品のデータの蓄積により、一時、処理速度が落ちたことはある。だがこの問題もサーバーの更新により解決。情報処理にかかる時間は、1日5時間程度削減でき、システムを使用する社員のストレスも軽減した。

システムを通じて出力されたピッキングリストを確認しながら、必要な製品をピックアップしていく。
完成度の高いシステムで次なるステップへ
稼働から6年。会社の誕生から、つねに業務を支え続けてきたこのシステムへの社内の評価は高い。 「大幅な更新を行わなくても、業務に対応し続けていることが、このシステムの完成度の高さの表れだと思います」 管理部 業務グループ システム担当 アシスタントマネージャーの舘 育樹氏はこう語る。さらにシステムの安定性、操作性のよさも、高評価かにつながっている。同業務グループ システム担当の渡辺 直子氏は、「画面構成等が見やすく、入力しやすいですね。こうした作業者の負担を軽減する細かな配慮は重要だと思います」と、語る。 同社では、今後、人工骨などの製品のみならず、必要な用材と手術器具をセットにし、その貸し出しなども行っていく方針だという。そのためには、セット品それぞれの担分管理も必要になってくる。そうした対応にも、もちろん『スーパーカクテル販売管理』を活用していく予定だ。 次のステップを目指す同社にとり、このシステムは心強い縁の下の力持ちであり続けるだろう。