頻繁に表示される広告や、勝手にホームページが変更されていると、「もしかしてウイルスに感染した?」と不安になる方も多いと思います。こうした現象は『アドウェア』と呼ばれるソフトウェアのインストールをきっかけに発生します。このページではアドウェアの何が問題なのか、アドウェアに感染した際の対処方法や感染を防ぐための対策はどういったものか解説させていただきます。
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アドウェアとは?
アドウェアは「広告表示によって収入を得るソフトウェア」と定義されています。フリーソフトやソフトウェアの無料版を利用した際に表示される広告がアドウェアの動作に該当します。有料版やサイトへの誘導を目的にした広告のほかにも、ソフトウェアのインストール時にほかのソフトウェアのインストールを求める場合もあります。これはソフトウェアの製作者がアフィリエイト収入を得ることが目的です。
私たちが普段使っている多くのWebサービスも広告収入により運営されているため、広義的にはアドウェアに分類されるといえるでしょう。そうしたアドウェアはユーザーへの説明なしにほぼ強制的に視聴させるケースが多いことから、脅威ではなくても単純に煩わしい存在として認識されているのではないでしょうか。
アドウェアは本来の役割は『広告』となるため、無料配布の企業ロゴ入りポケットティッシュや電車内の広告と感覚は近いかもしれません。ただし、アドウェアの中には端末情報を不正に取得して外部に送信するマルウェアとしての働きをするものがあります。ユーザーの趣向に合わせた広告を表示するため、サイトの閲覧履歴を収集しているケースもありますが、そうした働きが脅威に発展する可能性も捨てきれません。
アドウェアに感染したときの被害
アドウェアに限らずマルウェアの対策はもちろん必要ですが、感染した場合にはどのような被害が想定されるのか把握しておくと、二次的な被害を避けることができます。
ポップアップ広告が表示される
Webサイトを閲覧している途中で強制視聴のポップアップが表示されます。または、閲覧中のウィンドウ以外に新たにウィンドウが開いて広告を強制的に表示します。広告の内容には品の良くないものも多く確認されているため、不快感を抱く方もいらっしゃるでしょう。
ソフトの購入を求められる
「スパイウェアを検知しました!」「感染しています」などの不安をあおる警告を表示してソフトの購入を促します。実際にはマルウェアに感染していなくても警告が表示され、不要なセキュリティソフトを購入させようとする悪質な広告です。ユーザーをだましてセキュリティソフトを購入させる金銭的な被害だけでなく、購入時に入力したカード情報を盗み取られる可能性もあります。
ホームページが変更される
Internet ExplorerやGoogle ChromeといったWebサイトを閲覧する際に最初に表示されるホームページが勝手に変更される被害も報告されています。このケースで良く報告されているのが「Hao123」「Babylon Search」「Delta Search」といったホームページです。規定のホームページを改変するアドウェアは『ブラウザハイジャッカー』とも呼ばれています。
広告収入を得るために、ホームページに人を集めること自体は多くのサイトで行われているため悪いことではありません。ただし、こうしたアドウェアはわざとアンインストールしづらくなっています。日常的に利用するWebサイトが使いにくくなるだけでなく、信用度の低い企業のサイトを利用していると検索履歴や入力したデータなどの情報漏えいリスクも考えられます。
ツールバーが追加される
こちらは表示されるホームページを改変することなく、ツールバーを組み込むタイプです。意図していないツールバーが増えるため、使い勝手が変わってしまいます。使うつもりのないサービスが常に表示される、迷惑な存在です。
アドウェアに感染した際の対処方法
アドウェアに感染した場合、どのように対処すると良いのでしょうか。ほとんどのアドウェアは一般的なソフトウェアと同じく、ユーザーがインストールしたことによりパソコン内に組み込まれています。そのため、アンインストールで削除可能なケースもあります。手順が面倒になるのは、アンインストールではうまく削除できないアドウェアです。削除が難しいアドウェアはセキュリティ対策ソフトによる駆除を試しましょう。
無料体験版を利用できるセキュリティソフト
有名なセキュリティソフトのほとんどは、アドウェア削除機能をもっています。期間は設けられていますが、無料体験版の利用もできるため、費用をかけることなくアドウェアの削除が可能です。以下で紹介するセキュリティソフトはWindows・Macの両方に対応しています。
ノートン
シマンテック社が提供するセキュリティソフトです。ここ数年は大幅な改良はなくなり、新機能の追加も行われていません。一見デメリットのようですが、大幅な改良の必要がないことから完成度の高いセキュリティソフトといえます。ノートンは30日無料体験版を提供しています。また、メールマガジンに登録することで最長60日間体験版の利用ができます。
ウイルスバスター
日本国内での利用者も多い、トレンドマイクロ社のセキュリティソフト。高い性能と動作の軽さを両立した使いやすさが魅力です。製品サポートも充実しているほか、無料体験期間中に製品版に移行しても無料期間中は料金が発生しません。無料体験版は30日間利用可能です。
マカフィー
2018年版よりウイルス検出エンジンを一新したマカフィー。以前まで検出率が低いとされていましたが、現在は改善されています。無料体験版は30日間利用可能です。
アドウェア削除に特化したツール
セキュリティソフト以外にも、アドウェア削除専用のツールも開発されています。『AdwCleaner』というソフトウェアなら「インストール→実行→スキャン→削除」だけの簡単操作でアドウェアの削除が可能です。
リアルタイム保護のようなセキュリティソフトの機能はついていませんが、そのぶんアドウェア削除に特化しており、一般的なセキュリティソフトで検出しにくいアドウェアも発見してくれます。
参考: Malwarebytes AdwCleaner のダウンロードと使い方
アドウェアの感染を防ぐ対策方法
感染した際の削除方法も大切ですが、感染を避けるための対策方法も重要です。個人・企業のどちらでも、PCを利用している方がアドウェアに感染しないためには次のポイントに気をつけましょう。
フリーソフトのインストール時にチェック
アドウェアの感染手段として最も多いパターンは、フリーソフトの導入時にユーザーの確認漏れによってインストールしているパターンです。勝手に変更されている、知らないうちにツールバーが増えていると感じていても、実際にはユーザーの意思によりインストールされています。ソフトウェアをインストールする際には確認事項を表示し「次へ」や「OK」といったボタンを押して確認事項、同意事項に了承しています。その際にアドウェアのインストールに同意しているかもしれません。
不要なソフトウェアまで一緒に導入していないか必ず確認して、カスタムインストールやチェックボックスのチェックを外すなどインストールしない対策をしてください。
怪しげなサイトからのダウンロードは避ける
ソフトウェアのダウンロード時には、ソフトウェアの信頼性だけでなく、ダウンロードサイトの信頼性にも注目しましょう。公式サイトや利用者が多く信頼性の高いサイト以外の、怪しげなサイトに転がっているソフトウェアはそもそも危険な可能性が高いです。アドウェアだけでなく、PCに不具合をもたらすマルウェアが隠されているかもしれません。
利用したいソフトウェアは開発元のホームページか、一定の信頼があるダウンロードサイトを利用するようにしましょう。『Vector』や『窓の社』といったダウンロードサイトはフリーサイトの掲載において、ウイルスチェックを行っているようです。ただし、ソフトウェアの利用についてはどちらも「ユーザー個人の責任において利用」となっているようです。ダウンロードサイト側で検査をしていたとしても、忘れずに自分でウイルスチェックをするようにしましょう。
不審な警告表示は無視
「スパイウェアを検知しました!」「ウイルスに感染しています」といった不安をあおる警告メッセージが表示された場合、導入しているセキュリティソフトからの警告以外は無視して構いません。警告メッセージで購入を促されているソフトを購入してしまうと個人情報の流出といった二次的な被害の危険性も高まります。誤って警告表示をクリックしたとしても、その先に進まないようにしましょう。
また、アドウェアの感染被害については、一般の方の口コミで情報が出回っているケースもあります。セキュリティソフトの公式サイトでの発表や被害報告の口コミなどが出ていないか、一度検索してみることもおすすめです。
迷惑なアドウェアは放置せずに早めに削除
アドウェアは広告を表示してソフトウェアの購入を促す、もしくは製作者が広告収入を得るために利用されるソフトウェアです。一般的なWebサイトでも利用されていますが、中にはユーザーが意図しない形でPCに入り込み、検索履歴や情報を外部に送信するアドウェアがあるのも事実です。
アドウェアが原因で引き起こされる動作に心当たりのある方はできるだけ早くアドウェアを削除し、快適にPCを使うようにしましょう。