データの送受信時に多々発生する問題
機械の骨格部品の設計・製造業界で、長年ライバルとして切磋琢磨してきた株式会社ヒラタと株式会社本郷。この2社が合併し、2006年4月、ひとつの企業が誕生した。両社のノウハウが融合し、業界屈指の開発力、製造力を持つ企業となった株式会社エイチワンだ。
業界トップクラスの規模となった同社だが、それだけに様々な悩みも抱えていた。
大手自動車メーカーの1次サプライヤーとして自動車部品の設計、開発を行っている同社では、取引先や社内の関連部署間で、設計図のデータなどを頻繁にやり取りしている、だが、設計図面データは大容量になりがちで、送受信に数十分から1時間近くかかるものがほとんどだ。
その上、送信したはずのデータが相手に届いていない、海外の通信環境が不安定な知己では通信回線が途中で途切れてしまう、などのトラブルも少なくない。また、データ送受信のセキュリティ対策がまちまちだった為、不安は拭えなかった。
「合併後もシステムが統一されておらず、取引先にも混乱が生じていました。たとえば同じ取引先に、ある拠点はWebDAVサーバを構築してデータを送受信しているのですが、別の拠点ではFTP(File Transfer Protocol)サーバ経由でデータをダウンロードしてもらったりするなど、部署ごとに送信方法も異なっていたのです。しかも、送信ログの保存形式も多様で、問題が起こっても原因の解明が難しい状況でした。こうした課題をなんとか解決したいと考えていたのです」と語るのは、情報システム課の吉田 元志氏だ。
低コストで柔軟なカスタマイズが可能な「EdiGate/POST」の導入を決定
データ送受信にかかわる問題は現場担当者の負荷増大に直結する。そのため、システム導入による解決策をもとめさまざまなベンダーに相談していた。
しかし、すべての課題を解決できるシステムの導入は、コスト面でなかなか折り合いがつかない。3年の年月をかけて探したが、「これは」と思えるシステムに巡り会うことはできなかった。
だが、システムの必要性は日に日に高まる。苦心の末、あるベンダーが提案してきたパッケージシステムの導入を決定しようとした矢先、訪問してきたDAiKOの営業担当者から紹介されたのが、データ交換・帳票配信ツール「EdiGate/POST」だった。
「EdiGate/POST」は、暗号化とパスワードにより、セキュリティを強化し、図面データの交換や、帳票イメージを自動で配信できるシステムだ。もともとがEDI(Electric Data Interchange)のサブシステムとして開発されたものだけに低価格。導入コストを抑えつつ、大容量データを効率的かつ安全に送受信したいという同社のニーズに非常にマッチするものだった。
さらに、柔軟なカスタマイズが可能で、同社のニーズを反映したシステムの構築が実現できることもポイントとなった。しかしDAiKOからの提案に心を動かされたのは、システムの機能性だけではない。
「高度なカスタマイズ要件を出しても、笑顔で応えてくれました。高いパフォーマンスと、担当営業、担当SEの誠実かつスピーディな対応に魅力を感じました。当社にとって『EdiGate/POST』の導入は、ベストな選択だったと思います」(吉田氏)
自動圧縮や案内票送信など充実の機能で髙評価
2007年の12月に導入を決定してからわずか4か月後の2008年4月、「EdiGate/POST」は稼働を開始した。これで念願だったセキュアで効率的に多部署との大容量データの一括送受信が可能になった。 だが、システム導入にあたっては、データ送受信以外にも必要な機能が2つあった。 まずは2か国語対応。海外に多くの拠点を持つ同社にとり、日本語/英語の対応は必須の条件だった。 そしてもうひとつのこだわりが3次元CADソフトで作成したデータへの対応だ。3次元CADデータはひとつのフォルダの中に複数のファイルが保存されており、それぞれリンクが張られてひとつの図面になっている。そのため、メールなどで1ファイルずつ送信するとリンクが切れ、図面が正しく表示されないことがしばしばあったのだ。 今回のシステムでは、カスタマイズ対応やオプションの追加によりこれらの条件をクリアした。リンク切れについては送信時に自動的にフォルダを圧縮する機能を追加し、手間なくファイルのリンクが切れない形式でのデータ送信が可能になった。 また、通信が不安定な海外拠点での利用を考慮し、通信回線が途切れても、再ダウンロードには前回の続きからデータを読み込めるレジューム機能も追加した。 さらにこれまでは追加のつど担当者が作成していた通信案内票も、自動的に相手先に新着通信メールが届くようになっている。 「システム導入前に比べると、データの送受信にかかる時間は、5分の1程度にまで短縮できています。業務効率は格段にアップしました。」(吉田氏) まずは社内で活用し、今年度中に海外グループへ展開し、将来的には取り引き先との図面データの送受信にも積極的に活用して行く方針だ。 また、「EdiGate/POST」は帳票類の自動配信にも対応したシステムであるため、今後はそうした機能の活用も視野に入れられている。図面データの送受信を目的として導入した「EdiGate/POST」だが、将来的には適用業務が拡がりさらなる業務の効率化が実現されるだろう。