システムを刷新し、調達支援システムを導入
「カガクでネガイをカナエル会社』のキャッチフレーズが印象的な株式会社カネカ。樹脂などの化成品や合成繊維をはじめ、バイオ医薬品、食品まで幅広い分野の製品を手がける化学メーカーだ。
多種多様な事業を展開し、国内に7か所の事業所を持つ同社では、調達すべき資材も事務用品から工業用プラントまで非常に多岐にわたる。
また発注件数も膨大な数となるため、可能な限り購買業務の省力化を図ってきた。その一環として、20年前から会計や生産管理など業務全体を支えるオートインワンの管理システムを導入。その一機能として購買システムも活用してきた。
その後、他のシステムはリプレースしたものの、購買システムだけは以前のまま利用を続けていた。しかし、このシステムでは、各拠点で手書きの発注書を作成し、それを本社に郵送する必要があり、時間や手間がかかり過ぎてしまう点や、コンプライアンス対応などの改善すべき点が多く存在していた。
「こうした問題を改善して発注に関わる作業工数を減らし、その時間を購買本来の仕事に注力したいという思いがありました」
そう当時を振り返るのは、資材部 企画管理チームリーダー徳田好秀氏だ。
そこで購買システムの刷新を機に、都度購入品の購買についてもシステム化することを決断。
すべての購買業務のペーパーレス化、省力化、電子化を目指して、新たなシステムの選定を開始した。

100%植物由来の軟質性、耐久性を有する世界初のバイオポリマー。最終的には炭酸ガスと水になる生分解性ポリマーで、二酸化炭素排出量削減や環境保全に貢献している。
採用の決め手は、充実した都度購買品向け機能
6社のベンダーからの提案を検討した結果、2008年5月にDAiKOの資材調達支援システム「PROCURESUITE」の採用を決定。各拠点や取引先の意見も踏まえたうえで、様々な角度から選定を行った結果だ。
採用の決め手は、都度購入品の調達にも柔軟に対応できる機能性だった。
つねに同じ製品を購入するカタログ購買とは異なり、都度購入品の調達には、複数の取引先から見積をとる必要や、私用の変更に判う購入部材の変更などが発生する。
こうした事態に対応できる機能を求めていたが、当時は都度購入品に対応したパッケージはほとんど存在しなかった。そのため他社の提案は、大量生産品向けシステムの転用か、自社開発に終始した。
そんな中、DAiKOだけが、同社が求めているパッケージを提案してきたのだ。
「他社に較べて低コストで導入できるにもかかわらず、数多くの導入経験から、弊社特有の機能にもアドオン対応が可能だったことも大きな魅力でした」
情報システム部 運用管理チーム主任 高島 雄二氏はそう語る。
さらに会計や生産管理など社内の他システムとの連携がスムーズに行える仕様であることも採用を後押しした。
こうして新システムは、2008年9月に稼働を開始した。


同社では、業務用製菓・製パン・食材分野でトップランクの食品加工製品群を製造している。パン酵母とマーガリンの両方を製造する唯一のメーカーだ。
「いいモノを安くタイムリーに」理想の購買を実現
稼働開始当初は、アドオン部分に運用とのギャップがあったが、それらはDAiKOとの協同作業により、一つ一つ解決していった。
さらに、実際にシステムを利用する社員や取引先の意見を反映し、毎年、細かな部分の改善を実施。その結果、現在では安定性と操作性を社内外から高く評価されるまでになっている。そして様々な面で導入効果を上げている。
まず大きいのがシステム化の一番の目的だった業務の効率化だ。
発注書の作成や本社への郵送作業などがなくなり、業務の工程数を3割削減することに成功。その時間や人的資源を購買記録の分析業務などに振り分け、「どのタイミングで、どの取引先に、何を発注すれば高品質の製品が入手でき、かつコストが削減できるか」を導き出すことに充てている。これにより戦略的な購買活動の足がかりができたという。
2つ目の効果は、通信費の削減だ。各拠点と本社を結ぶシステムを導入し、購買業務自体を一本化したことで、これまで発生していた本社への発注書の郵送業務がなくなり、その費用がなくなった。
業務の平準化が進んだことも、3つ目の導入効果として挙げられる。システムに蓄積されたデータを活用することで、購買業務の経験が少ない人材でも、適切な資材調達が可能となりつつある。
「誰が担当しても『いいモノを安くタイムリーに』調達できるという、理想的な購買業務が実現しました」(徳田チームリーダー)
同社では今後、在庫管理システムなどと連動し、必要な資材の在庫切れ前にアラームを設定するなどし、一層の調達業務の効率化、適切化を図りたいと考えている。
多くの効果をもたらした「PROCURESUITE」は、企業の戦略を陰で支える縁の下の力持ちとして、これからも同社の発展をサポートし続けていく。