生産管理 基礎知識

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プロダクトライフサイクルとは?基礎知識から運用方法まで解説

プロダクトライフサイクルとは?基礎知識から運用方法まで解説

近年、多くの製造業で取り入れられている「プロダクトライフサイクル」。プロダクトライフサイクルの概念を取り入れて適切な戦略を取ることで市場競争力を高め、かつ無駄のないコスト投入ができるようになります。
今回は、そんなプロダクトライフサイクルについて基礎知識から運用方法まで解説します。

プロダクトライフサイクルの基礎知識

プロダクトライフサイクルとは?

プロダクトライフサイクル(Product Life Cycle)とは、製品が市場投入〜撤退までの期間にわたってどのような段階を踏んでいくかを表した、一連のサイクルのことをいいます。
そのサイクルは一般的に、導入期・成長期・成熟期・飽和期・衰退期と呼ばれる5つの段階から構成され、各段階において企業が取るべき戦略が異なります。

プロダクトライフサイクルの意義とメリット

プロダクトライフサイクルを理解しておくことは、製造業にとって次のようなメリットがあります。

■自社がいま何に注力すべきかわかる
製品がプロダクトライフサイクルのどの段階にいるのか客観的に把握することで、自社がいま製品開発・マーケティングにおいてどのような戦略を取るべきなのかがわかります。
例えば、「成長期」と呼ばれる段階では多くの競合企業が市場参入してくる時期のため、モノづくりの現場では機能拡大・性能向上に力をいれて他社と差別化をしていくことが重要な時期です。
しかし次の「成熟期」と呼ばれる段階では、コモディティ化が進みどこの製品でも機能・性能に大差はないと顧客が感じる時期のため、デザインやブランド、または安さが顧客に選ばれるため要素となるため方針転換が必要です。
※各段階の状況と取るべき戦略については、次章で詳しく解説します。

■無駄なコストを掛けなくて済む
また、上記のように各段階に合わせた最適な戦略を取ることで、本来掛けるべきではなかった資金・リソースなどを節約できる点もメリットです。
例えば、「衰退期」という段階は別の製品カテゴリーで当該製品を代替する製品が誕生している時期のため、この時期に同じ製品を作り続けてはコストの浪費になってしまいます。
このことを理解して、自社も時間・資金・人員などを新しい製品の開発に投資するよう切り替えることで、より有効にコストを最適化できるようになります。

プロダクトライフサイクル 5つの段階とモノづくり戦略

ここからは、各段階がどのようなフェーズであるか、それぞれの特徴とモノづくりの観点で力をいれるべきことについて解説します。

導入期

世の中にその製品が誕生してまだ間もないフェーズ。
アーリーアダプターと呼ばれる一部の顧客のみが製品の機能を理解して購入しています。この段階では製品自体がまだ新しい試みであるため製品を製造する技術も流動的で、性能も顧客が求める水準に達していないことが多いです。
そのため、顧客ニーズもどれだけ製品の機能・性能が優れているかという点に注目がいきやすく、企業は製品の機能・性能の向上に集中するべき段階です。

成長期

一部の顧客にしか理解されなかった製品が、次第に幅広く受け入れられていくフェーズ。
この時期で、製品を製造するために試された多くの技術のなかからどれを今後も継続していくべきか、最適な技術が明らかになってくるため、多くの競合企業がこの時期に参入してきます。
顧客ニーズもその製品が持つ基本的な機能から周辺機能の方にシフトしていく時期であるため、モノづくりの観点では機能の拡大・性能の向上に力をいれ差別化をしていくことが求められます

成熟期

市場のほとんどの層に、製品が広く受け入れられたフェーズ。
成長期における改善活動で製品の機能・性能がすでに顧客を満足させる水準に達しているため、これ以上の向上余地がほとんどないという状態になります。この時期は、成長期に多くの企業が参入して市場競争した結果として、製品のコモディティ化が生じており、顧客には「どこの製品も機能や性能に大差はない」と感じられている可能性が高いです。
そのため顧客は、機能や性能よりも見た目やブランドなどといった「感性的な価値」や、いかに安く買えるかという「価格」で製品を選ぶようになるため、モノづくりではデザイン向上やコストダウンが課題となります。

飽和期

製品を必要とする人がほとんど頭打ちになり、需要が停滞して売上が伸びないフェーズ。
市場規模がこれ以上増えないため、競合他社と価格競争になります
顧客が低価格製品に流れるため、成熟期以上にコストダウンが求められるようになります。
モノづくりの観点では、原材料の仕入れ先を見直したり製造プロセスの無駄を無くしたりといった工夫がより欠かせなくなり、原価を抑えて販売価格を安くする努力が重要なフェーズとなります

衰退期

市場成長率が完全に縮小に転じた状態のフェーズ。
衰退期では、市場が衰退していることの要因の1つとしてこれまで製品が満たしていた顧客ニーズを別の新たな製品カテゴリーが代替して満たしている可能性が高いです。具体的な例では「ポケベルに対する携帯電話」「カセットテープに対するCD」などがあります。
この時期はそもそも市場から顧客が離れていくため、自社も資金・時間・リソースなどの投資先を新しい製品にシフトしていくことが求められます

プロダクトライフサイクルを活用するときの注意点

プロダクトライフサイクルの概念を活用するうえで、いくつか注意しておきたいことがあります。
その注意点とは、以下の3つです。

プロダクトライフサイクルは短くなっている

近年、「顧客ニーズや市場ニーズの変化が早くなっている」「技術革新のスピードが早い」といったことがよくいわれますが、これがプロダクトライフサイクルを短くしているといわれています。
これは、ニーズの変化が早くて製品がすぐに必要とされなくなってしまったり、新しい技術が台頭してきて製品に用いた技術が陳腐化するのが早かったりといったことが起こり得るためです。
対策としては、次章で後述するように素早い変化に柔軟に対応できるよう、ITを活用して企業の変革力を高めていくことが欠かせません

当てはまらない製品もある

プロダクトライフサイクルはあくまでも一般的な傾向やパターンを示すフレームワークであり、すべての製品・サービスに適用できるわけではありません。
例えば、消耗品やサービスなどはその一例です。
食品や衛生用品などの消耗品は一度使ったら廃棄されるため、製品の成熟期や衰退期がありません。
また、医療・介護・福祉などのサービスも基本的には需要がなくなることがないため、製品の成熟期や衰退期がありません。

自社がいまどの段階か判断が難しい

プロダクトライフサイクルでは段階ごとに5つのおおまかな区分が設けられていますが、各段階を定量的に判断できる明確な定義ラインがあるわけではないので、自社製品がどのフェーズに置かれているのか判断がつきにくいという点も注意です。
また、製品の売上成長率などを間接指標にして市場成長の度合いを観測することもある程度は可能ですが、売上等の指標はさまざまな要因を受けて上下変動するので、これもプロダクトライフサイクルの段階を判断するための材料としては充分ではありません。
成長期の製品の売上成長率が頭打ちになったようにみえても、実際にはまだ成熟期にはいったわけではなく、外的要因などさまざまな影響を受けて一時的に成長が低迷しただけ…というパターンも考えられるからです。

変化が早い時代に追いつくためには、IT活用が欠かせない

前章で述べたように、近年プロダクトライフサイクルの回転が早くなっているといわれています。
そのため、これからの製造業には変化に対して素早く対応できる柔軟さと変革力が欠かせません

柔軟さと変革力を強化するために欠かせないのが、IT技術を活用した取り組みである「DX」です。
DXといってもさまざまな取り組みがありますが、変化が早い時代に追いつくためには、なかでも「データからニーズを分析し、変化が早い市場にいち早く適応すること」「価格競争に陥らないために自社の強みを把握し活かすこと」の2点が有効です。

それぞれ詳しく解説します。

ITで製品データを収集することが、ニーズ適応の武器になる

近年は、顧客や市場のニーズの変化が早くなっているのと同時に、IoT やビッグデータを活用することで大量のデータが入手できるようになっているのも事実です。
IoT・ビッグデータを活用すれば、販売後の製品の稼働状況の収集や分析、ユーザーの評価などの情報を入手して顧客ニーズ・市場ニーズの変化を掴み、いち早く・そしてきめ細かに対応することができるようになりました。
また、IoT・ビッグデータを活用すればニーズを掴むだけでなく、自社内の業務プロセスの無駄なところを発見し、最適化を図ることでコストダウンに繋げるといったことも可能です。

熟練技能をデータとして蓄積すると、自社の強みもわかる

また、すぐに成熟期・飽和期にはいって価格競争に陥ってしまう…という事象を回避するためには、自社ならではの強みを活かしたモノづくり・マーケティング戦略が必要です。そのためには、まずは自社の強みを正確に把握することが欠かせないのですが、ここでもITが役立ちます。

例えば、業務プロセスのログや熟練工の技術をマニュアル・データにして資産としてITに蓄積していくと、「自社はこの分野における加工技術が特に重厚で秀でている」「他社と比べると設計・開発のスピードが早い」「アフターサービスの満足度が高い」などのような具体的な自社の強みがわかるようになりますし、これまで蓄積してきた技術と部門を跨いで全社的に棚卸し・整理することもやりやすくなります。

また、このように熟練技能をデータとして蓄積していくと、これまで熟練工が退職してしまうとそのまま企業から技術・ノウハウが失われてしまっていた状況を改善することができるため、人手不足・技術継承などの問題解消にも繋がっていきます

以上のようなITを活用したデータ活用・コストダウンや、熟練技能のデータ化などの取り組みは、数あるIT製品のなかから自社にあったものを選び導入していくことが大切ですので、信頼のおけるベンダーやソリューション提供会社に相談して進めることをおすすめします。

弊社でも、プロダクトライフサイクルを管理して製品の企画・設計・生産・販売など一連の工程における情報を蓄積・活用し、利益の最大化に役立てるためのPLM(Product Lifecycle Management)と呼ばれるサービスを提供しています。

弊社ではお客さまごとに合わせて最適な製品・機能をカスタマイズしてご提案しておりますので、まずは以下より詳細をご覧いただくか、ぜひ大興電子通信にお気軽にお問い合わせください。


プロダクトライフサイクルの実現を支援
製造業の利益最大化に役立つITシステム「PLM」については、下記よりご覧いただけます。

カタログ 製品の詳細


田幸 義則
この記事を監修した人
入社後15年間、長野支店にてシステムエンジニアとして活動。
運送業、倉庫業のお客さまを中心に担当し、業務システム構築からインフラ環境構築等の経験を積む。
その後、製造業のお客さまも担当し、rBOM導入のプロジェクトにも関わるように。
16年目に現部門に異動し、rBOM全国支援の担当者となる。
現在はrBOMだけではなく、製造業全般のソリューション提案を手掛けている。
料理が趣味、これからお菓子作りにも挑戦しようか迷っている。
大興電子通信株式会社
ビジネスクエスト本部
インダストリー推進部
田幸 義則
【事例で学ぶDX】BOMを統合して経営を強化、コストダウンへ

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