原価低減とは、製品製造に関わるすべてのコストを削減する活動のことです。企業の利益向上の手段の1つですが、原価低減が上手くいかないケースもよく見られます。
今回は、原価低減の基本から実施時の注意点、よくある課題とその解決方法などを解説します。
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原価低減とは?
原価低減とは、生産活動の中で発生するあらゆるコスト(製造原価)を削減することです。製造原価は材料費、労務費、経費の3つに分類され、それぞれについてコスト削減を行うことで企業の利益拡大を目指すことができます。
原価低減の方法
本章では、購買・調達部門が実施する、基本的な原価低減方法3つについて解説します。
材料費を抑える
材料費とは、製品の製造に必要となる原材料や部品、燃料、備品にかかる費用の総称です。一般的に、製造原価に占める材料費の割合は40~60%とされており、材料費を削減することができれば大きなコスト削減効果が見込めます。
材料費を抑える方法には、発注頻度や量を見直して原材料の過剰在庫を防ぐ、サプライヤと仕入価格の交渉を行う、サプライヤを再選定する、設計・開発部門と連携し、製品設計の段階から適切な品質・価格の原材料や部品を選定する、といった活動があります。
購買・調達部門が「開発・設計」段階から関わり、より効果的なコストダウンを行っていく「開発購買」の実施方法については、以下の記事で解説しています。
労務費を抑える
労務費とは、製品製造に関わった社員への給与のことです。労務費を抑えるためには、現場作業員の人員配置で無駄が発生していないか、業務フローに無駄はないか、というように人に関わる非効率を洗い出して改善することが求められます。
労務費を削減する直接的な方法に減給やリストラがありますが、これらは得策ではありません。社員のモチベーションを削ぎ、業務の生産性を低下させ、コスト増につながる可能性が大いにあります。この方法は安易に実行せず、極力避けていく方が良いでしょう。
経費を抑える
経費とは、製造原価の中で材料費にも労務費にも分類されない費用を指します。例えば、倉庫や工場の賃貸料や水道光熱費、設備の減価償却費がこれに含まれます。
節電状況を確認し電力プランを見直す、老朽化した設備を修理・交換するといった対応を行うことで、無駄なエネルギーコストの削減や製造時間のロス削減、不良品の削減などにつながり、原価低減に貢献します。
原価低減する際の注意点
原価低減活動を行う際は、「何のコストを、どのようにして低減させるか」を注意深く検討することが大切です。
例えば、原材料費を削減する場合は、品質の担保をどのように行うかも考慮したうえで、適切な低減方法を模索する必要があるでしょう。また、労務費の削減についても、先程述べたように社員のモチベーションを考慮したうえで最適な解決策を導き出す工夫が必要です。
このように、原価低減の「対象」が決まった後は、生産活動全体への影響を考えたうえで「解決策」を講じることが大切です。
また、原価低減では「無駄の削減」や「効率化」カギとなります。これらも意識して実施していきましょう。
しかし、購買・調達部門で購買・調達のコストダウンを行っているにも関わらず、原価低減を上手く実施できていないケースも多くあります。次章では、原価低減活動を阻害しやすい2つの要因をご紹介します。
原価低減できない主な理由
本章では、原価低減を行いにくくする主な要因を2つご紹介します。
価格交渉が属人化している
原価低減ができていない要因の1つに、価格交渉の属人化がよく挙げられます。
特に、会社に価格交渉のノウハウを蓄積・共有する仕組みがない場合は、担当者変更の際に業務が上手く引き継がれないことがあります。その場合、引継ぎ後の価格交渉が上手くいかなくなり、以前よりコストがかかってしまう場合があります。
購買・調達業務のノウハウを継承する仕組みについては、以下リンクの記事でご紹介していますので、あわせてご覧ください。
査定が上手く機能していない
原価低減ができていいない2つ目の要因としては、査定が上手く機能していないことがよく挙げられます。
購買・調達部門では、購入を検討する際に、複数のサプライヤから資材や部品の見積を取ります。この際に、過去の取引記録がなかったり、属人的な管理が常態化していたりすると、見積査定に無駄な工数がかかるため原価低減を実現しにくくなります。
例えば、見積データや仕様書などのドキュメントが属人的に管理されていると、担当者が変わったときに過去の見積履歴を参照できず、頻繁に見積の取り直しをすることになります。
こうした状況では担当者に負担がかかり、無駄なコストやケアレスミスが発生する原因にもなってしまいます。
次章では、以上のような属人化や非効率による課題を解決し、原価低減を成功させるポイントを解説します。
原価低減を成功させるポイント
ここでは、原価低減を成功させるためのポイントを2つご紹介します。
原価低減に向けて社員全員で取り組む
原価低減の効果を最大限に引き上げるためには、原価低減活動に、一部の担当者だけでなく社員全員で取り組むことが重要です。
原価低減の重要性や具体的な方針・計画の共通認識を全社的に持つことで、業務やモノの無駄が全体的に削減され、原価低減の効果がより高まりやすくなります。
過去情報を一元管理して可視化する
過去の取引情報や見積をデータ化し、一元管理するシステムの導入も非常に有効です。
ペーパーレス化が進むため、伝票の起票やサプライヤへの発送、納品後の検収といった煩雑なプロセスを簡素化することができ、人為的なミスや工数削減にもつながります。
また、価格交渉の属人化を解消でき、経験や知識差による仕入価格のバラつきを防ぐことも可能になります。また、見積から検収まですべての調達プロセスを一元管理することで、内部統制・コンプライアンスの強化にも寄与します。
これら2つのポイントを押さえることで、原価低減の効果はより高くなることが期待できます。
システム化・可視化で効率よく原価を低減しよう
ここまででご紹介したように、購買・調達プロセスをシステム化・ペーパーレス化することで、購買・調達コストの低減・効率化し、原価低減を実現できます。
そこで、購買・調達業務を効率化できるシステムとして、大興電子通信の調達支援システム「PROCURESUITE」をご紹介します。
PROCURESUITEは購買・調達プロセスを可視化する購買・調達支援システムです。PROCURESUITEの情報伝達手段はWebに統一されているため、伝票の起票や発送、管理といった煩雑な業務が必要なくなります。そして、これをカタログサイトと連携することで、調達コストや業務コストの大幅削減を実現し、企業の調達革新を実現します。
また、購買情報はデータベースに一元化され可視化される他、さまざまな購買方法に対応しており、事務工数の大幅な削減も可能です。実際に導入したある企業では調達コストを60%削減し、カタログ購買によって更なるコストダウンも期待されています。
また、内部統制や下請法に対応した機能もあるため、購買業務に関するコンプライアンス強化にも寄与します。
以下のリンクでは、製品の詳細およびカタログを閲覧できます。PROCURESUITEに興味のある方は、ぜひご覧ください。