生産管理 基礎知識

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生産計画の元となる大日程計画の目的、役割、作り方を解説

日程計画

製造業においては、効率的な生産を行うために日程計画(生産計画)が立てられます。日程計画はさらに大日程計画、中日程計画、小日程計画に分けられ、それぞれに重要な目的があります。

今回は大日程計画に焦点を絞り、日程計画全体における位置づけや計画を立てる目的、中日程計画・小日程計画への落とし込み、大日程計画の作り方について解説します。

大日程計画の位置づけと目的

大日程計画は、日程計画の中でも最初に立てられる大枠の計画です。そもそも日程計画は、発注のあった製品を納期までに確実に納品するために、また効率よく生産できるように計画されます。

その中でも最初に立てられる大日程計画は、その後の中日程計画や小日程計画にも大きく関連する重要な要素だと言えます。

大日程計画の目的

大日程計画では、中長期的な計画が立てられます。そのため、注文がありすでに納期が確定している製品もあれば、納期が調整中の製品、今後の受注が予測される製品も含まれます。確定していない部分も計画に含めるのは、大日程計画には資金調達の計画や人員計画、設備計画につなげる目的があるためです。

大まかでも先の計画がなければ、必要な人員を採用したり、設備投資を行ったりといったことが難しくなります。もちろん、納期が確定した際に必要な動きを大枠で固めることも、大日程計画の重要な目的です。

各日程計画の粒度、期間、頻度、単位

大・中・小と計画が進むごとに、その内容は細かくなっていきます。以下では、各日程計画がどの程度の規模感で計画されるのかについてご紹介します。

各日程計画は、粒度、期間、頻度、単位の4つの要素を考えることで理解しやすくなります。
粒度は、その計画の影響範囲を示しています。例えば、部門別、製品別、工程別というように細かくなっていきます。
期間は、1回の計画で作成される期間を示しています。
頻度は、計画を行う頻度を示しています。
単位は、その計画の時間的な単位です。月単位、週単位、日単位、時間単位というように細かくなっていきます。

例えば大日程計画は、部門別や工場別で計画されます。1回の計画で作成される期間は3~12ヶ月で、1~3ヶ月に1度の頻度で計画を見直します。中日程計画、小日程計画と進むごとに各要素が細かくなっていきます。

大日程計画から中日程計画、小日程計画への落とし込み

日程計画

例として、粒度は部門別、期間は6ヶ月、頻度は毎月、単位は月、で大日程計画が作成されるケースを考えてみます。

1月に大日程計画を立てます。この大日程計画には1~6月までの6ヶ月間の計画が載っており、部門それぞれの動きが月単位で記されています。加工部門は1月にAとBの製品に取り掛かる、2月にはBとCの製品に取り掛かるというような内容です。次に計画を行うのは2月で、このときには2~7月の計画が立てられます。つまり、被っている期間については計画の修正が行われ、最後の7月に関しては新規の計画が立てられることになります。

次に、中日程計画に落とし込んでいきます。粒度は製品別、期間は2ヶ月、頻度は毎週、単位は日、で計画されると考えます。

1月1週目に中日程計画を立てます。この中日程計画には1~2月までの2ヶ月間の計画が載っており、製品それぞれの作業工程が日単位で記されています。製品Aは◯日にパッキングを行う、同じ日に製品Bは加工を行う、というような内容です。次に計画を行うのは1月2週目です。

この中日程計画では2ヶ月先までの計画を立てているので、2月になって大日程計画が更新されると、その変更内容に従って2月1週目~4週目までの中日程計画も修正されることになります。

小日程計画への落とし込みも、上記と同様の流れで行われます。

大日程計画の作り方

日程計画

大日程計画は大まかな計画を立てるという特性上、期間や頻度はもちろん、その作成フローも業種やプロジェクトの規模によって変わります。以下では、大日程計画のおおよその作成フローについてご紹介します。

必要な情報を集める

まずは、計画に必要な情報を集めます。大日程計画に必要なのは、販売計画や開発計画などの社内情報、部品や材料の発注先の生産情報、下請けで製造を行っている場合は発注元の営業情報などです。

どうしても情報が集まらない場合は、昨年の同時期の実績や類似製品の実績、製品にまつわる市場の変化などを参考に予測を立てます。

テンプレートに作業や進捗を割り当てる

集めた情報をもとに、作成しておいたテンプレートに作業内容や進捗状況を割り当てていきます。テンプレートは、自社で規定している大日程計画の期間や頻度に合わせて作成しましょう。

大日程計画のテンプレートは、比較的小規模のプロジェクトであれば各工程の進捗が分かりやすいガントチャート、比較的大規模で複雑なプロジェクトであれば各工程の関連性が把握できるPERT図が適しています。

この段階で、工場のキャパシティが足りないから外注しなければならないといった判断や、稼働しないラインが出てくるため新たに営業をかけなければならないといった判断ができるようになります。

各計画につなげる

大日程計画が完成したら、中日程計画はもちろん、生産計画以外のさまざまな計画につなげていきます。例えば、資金計画や人員計画、設備計画、在庫計画、資材所要量計画などが挙げられます。

精度の高い大日程計画の作成には生産管理システムがおすすめ

大日程計画は、納期が決まっていない部分まで計画する大まかなものですが、より現実的な中日程計画に落とし込むためにはきちんと作成する必要があります。そもそも大日程計画を作っていない、作っているが中日程計画に上手く落とし込めていないという場合は、計画方法を見直してみましょう。

なお、その際には精度の高い計画を素早く作成できる生産管理システムの導入がおすすめです。システムを導入すれば、煩雑な計算を自動化するなど、計画の作成に便利な機能を活用できるので、ぜひ検討してみてください。

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田幸 義則
この記事を監修した人
入社後15年間、長野支店にてシステムエンジニアとして活動。
運送業、倉庫業のお客さまを中心に担当し、業務システム構築からインフラ環境構築等の経験を積む。
その後、製造業のお客さまも担当し、rBOM導入のプロジェクトにも関わるように。
16年目に現部門に異動し、rBOM全国支援の担当者となる。
現在はrBOMだけではなく、製造業全般のソリューション提案を手掛けている。
料理が趣味、これからお菓子作りにも挑戦しようか迷っている。
大興電子通信株式会社
ビジネスクエスト本部
インダストリー推進部
田幸 義則
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