生産管理 基礎知識

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3DCADとは?2DCADの違いや活用メリットをご紹介

3DCADとは?2DCADの違いや活用メリットをご紹介

製造業のDX推進の手法としても注目されている3D設計技術。
本記事では、3D設計を行ううえで欠かせないツール「3DCAD」の基礎・基本と、従来の2DCADと比較して何が違うのか、どのようなメリットがあるのかなどを詳しく解説します。

3DCADとは?

旧来は手書きでおこなっていた設計業務を、コンピュータを用いてデジタル化できるツールCAD(Computer Aided Design)。
手書きの設計図のように2次元(2D)で製図を行うCADを「2DCAD」と呼びますが、それを3次元に拡張し立体も取り扱えるCADを「3DCAD」と呼びます

3DCADはコンピュータ上の仮想空間で立体的に図面を起こすことができるため、直感的かつ食い違いなくイメージや仕様を伝えられるといった特長があります。
製造業が3D設計を推進するべき理由については、以下記事を参照ください。

3DCADと2DCADの違い

大きな違い

2DCADと3DCADの大きな違いは、まず前述の通り製図を3Dで行えるかどうかという点です。
2DCADの場合、平面上で立体を表現するためには第三角法を用いて製図することになります。
一方で、3DCADの場合はコンピュータで作られた仮想空間上のXYZ軸に立体的に製図を行っていきます。同じCADでも、両者では製図のしかたが大きく異なるのが特長です。

メリットとデメリット

2DCADと3DCAD、それぞれを用いるメリット・デメリットには次のようなものがあります。

3DCADとは?2DCADの違いや活用メリットをご紹介

■2DCAD
メリット
手書きの製図作業をそのままコンピュータ上で行うだけなので、手書きから移行する場合は比較的簡単に作業できます。また、3DCADと比較するとソフトウェアが安価で、利用するコンピュータに求められるスペックも比較的少ないのでコスト・導入のしやすさの面で利点があります

デメリット
平面上に表現された情報だけだと、詳しい部分がイメージしにくかったり、読み手の解釈によって認識の食い違いが生じてしまったりといった問題が発生しやすいことがデメリットとして挙げられます。また、部品同士の干渉など設計上の問題点が作ってみるまで発見しにくいことも多く、手戻りが発生しやすいです。図面を変更/修正する際に、影響箇所を一つずつ直さなくてはならないこともあり、2DCADは手間が大きいと言えます。

■3DCAD
メリット
作成した図面から体積・表面積などの情報が計算されて簡単にわかるといった2DCADにはなかった便利な側面があります。また、変更/修正が比較的容易なため、試作品制作のハードルも下がり、設計業務の効率化・コストダウンに役立ちます

※3DCADを使うメリットについては、4章でも詳しく解説しています。

デメリット
手書きや2DCADで慣れていると、製図のしかた・操作面が大きく異なるため、慣れるまでに大変です。また、ソフトウェアそのものや取り扱うデータ容量が大きく、求められるPCスペックも2DCADより高いため、ソフトウェアや導入するPCのコストが比較的高くなります

3DCADの種類

厳密な定義が存在するわけではありませんが、3DCADのソフトウェアには保有している機能・スペックなどの違いで、大きくわけて3つのクラスの製品が存在します。

3DCADとは?2DCADの違いや活用メリットをご紹介

ハイエンドCAD

3つのクラスの中で、最も機能が豊富でスペックが高いモデルの製品です。
航空機、自動車、家電など、部品が多く設計が複雑な分野で多く利用されます。
大規模なアセンブリ(※1)でも高速処理ができたり、扱えるデータの種類が多く汎用性が高かったりといったものが多く、設計業務の効率化・リードタイム短縮に役立ちます

※1)アセンブリ ・・・ 組立品のこと。設計図や2DCADにおける「組立図」と同義。

ミッドレンジCAD

CADとしての主要な機能は十分に備えたうえで、ハイエンドCADにしかない機能・スペックを省いた分、低価格で利用できるモデルが多いクラスです。
ミッドレンジに該当するCADの中でも製品によって保有している機能・スペックは幅広く、ハイエンド寄りからローエンド寄りのものまでさまざまな製品が存在しているので、ニーズと照らし合わせながら自社に合ったものをよく吟味されることをおすすめします

ローエンドCAD

3つのクラスの中でもっとも安価なクラスで、無料で提供されているフリーのソフトウェアもあります。
ハイエンド・ミッドレンジと比較すると、機能・スペック面でできること・扱えるデータなどが限られており、業務用途での利用はあまりおすすめできませんが、CADを全く利用したことがなく試してみたい方や、限られた機能で拡張性がなくても十分という方であれば問題ないかと思います。

3DCADを活用するメリット

前述の「3DCADと2DCADの違い」でも簡単に述べましたが、ここでは3DCADを活用する具体的なメリットを4つご紹介します。

視覚的にわかりやすくなる

2次元の図面は、読み手にとって平面から立体を想像しながら読む力が必要になるため、読み手側の技術・スキルが求められます。複雑な設計になればなるほど、たとえベテランの設計者であっても初めて見る図面を理解して完成品をイメージするには多くの時間を要することになります。

しかし3DCADであれば、私たちが普段生活して目にしているのと同じように立体的に対象を見ることができるため、完成品を直感的に理解しやすくなります。仮想空間上でモデルを回転させたり拡大したりして、実物と近いかたちで形状や仕様を確認できるので、部品の干渉などの問題を発見しやすくなるのもポイントです。

設計図は顧客や営業担当、製造部門や購買部門など設計を専門としない人たちも見るものなので、直感的に理解できると意思疎通・情報伝達がこれまでよりスムーズになります。3Dデータであればバーチャルデザインレビューが可能となり、フロントローディングに貢献します。

変更/修正が簡単になる

2次元の図面でどこかに変更・修正を加えた場合、その変更が影響する範囲すべてを一つずつ確認して修正する作業が発生していました。
3DCADであれば、前述の通り視覚的にわかりやすいことで影響範囲も理解しやすく、変更・修正が従来よりも簡単に行えるようになります。

体積・表面積などの情報が簡単にわかる

2次元の図面の場合、体積・表面積・重心などを知るためには時間をかけて煩雑な計算をしなくてはなりませんでした。試行錯誤しながら設計する過程で、図面を修正する度にこれらの情報を計算するのは容易ではありません。また、計算過程でミスがあれば工数や調達する材料などに影響が出て、コストが増加してしまう恐れもあります。

3DCADでは、仮想空間に作り上げたモデルから体積・表面積などの情報を自動算出してくれる機能を備えたものが多く存在します。計算ミスを防ぎ、計算にかかっていた時間を大幅に短縮できるだけでなく、体積・表面積などのデータをリアルタイムで確認しながら設計を試行錯誤することができるようになるため、コスト・リードタイムの面でも大きなメリットがあります。

試作品制作が簡単になる

試作品制作を行う場合、2次元図面の場合は設計図の理解・加工方法の検討から始めて、工作機器を使って加工を行い、部品を組み立てていくプロセスが必要でした。

しかし3DCADであれば、試作機の代わりにバーチャルでの検証が可能となり、また3Dプリンターと組み合わせてより簡単に試作品制作ができるようになります。3DCADからエクスポートした3Dデータを3Dプリンターに読み込ませれば、簡単かつ早く試作品を完成させることが可能です。

3Dデータを活用してモノづくり現場の業務改善が可能

ここまでご紹介したように、3DCADを用いて3D設計を行うことで従来の設計業務を効率化・リードタイムを短縮できたり、社内・取引先とのコミュニケーションがわかりやすく・食い違いなく伝えられるようになったりと、製造業にとってさまざまなメリットが得られます

また、製造業でもDX推進の重要性が広く認知されるようになってしばらくたちましたが、これからさらにDX推進を加速させる手段の一つとして、今回ご紹介した3D設計をはじめとした「3Dデータの活用」はおすすめです。3Dデータを活用すると、QCDを大きく向上することができます。

3Dデータを今後どのように活用していくべきなのか、それによってどのようなメリットがあるのかなどについては、弊社のPLM支援サービスのご紹介ページで詳しく解説しております。
よろしければ、こちらもぜひ参考にしてください。

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モノづくりの強化を促す「PLM」

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北島 靖夫
この記事を監修した人
前職では、SEとしてCAD/CAMシステムのパッケージ開発に携わり、
お客さまのシステム構築なども経験しました。
それらの経験を活かし、PLM領域の専門営業として、大手企業から
中堅・中小企業まで幅広く提案経験を積んできました。
現在は当社にて、製造業全般のソリューション提案にも携わっています。
週末は趣味の草野球を楽しんでいます。
大興電子通信株式会社
ビジネスクエスト本部
インダストリー推進部
北島 靖夫
【事例で学ぶDX】BOMを統合して経営を強化、コストダウンへ

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