調達業務は実は多忙であり、効率化する必要があります。調達業務が破綻すると製造部門にも影響が出るため、調達部門の業務改善は経営上も非常に重要です。また、調達の安定のためには仕入先の選定も大事な課題です。
今回は、生産管理システムを利用して調達部門の改革を成功させる方法についてご紹介します。
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効率化のポイント:発注業務を効率化する
多品種少量生産型のものづくりを行っている会社では、部品の数も多く、仕入れのリードタイムを把握した調達が求められるので、調達業務はかなり多忙です。
調達業務を効率化するための第1のポイントは、発注業務の効率化です。特に、次の4点に注意する必要があります。
- 設計部品表から発注票への作り直し
- 納期や発注漏れ・受注漏れのチェック
- 注文書作成・送付作業の自動化
- RPAの活用
設計部品表から発注票への作り直し
設計から回ってきた設計部品表を、調達担当者が発注票へ入力し直している場合があります。これでは発注にかなり時間がかかってしまいますし、転記の際に手配ミスをしてしまう可能性も出てきます。
設計部品表のデータをそのまま手配データとして作成できるようにすれば、手配ミスを防止し、登録工数を低減することが可能です。さらにはCADのデータをCSV取り込みさせて手配データを作成させることができれば、発注業務はかなり省略化されます。実際に、これだけで調達作業が半減したという会社も出てきています。生産管理システムを利用すれば、このようなことも可能です。
納期や発注漏れ・受注漏れのチェック
発注する部品の数が多く納期もまちまちだと、納期管理が甘くなりがちです。また、調達部門の発注忘れや仕入先の対応漏れもあるかもしれません。これらを管理するのは手書きやExcelでは困難です。作成者しか手配状況をチェックすることができず、変更履歴も残せないからです。
生産管理システムを利用すると、警告画面で発注漏れや対応漏れ、納期遅延を直ちに確認することができ、問題が大きくなる前に手を打つことが可能です。
手配状況を見える化すると、同じ部品を使う製品をチェックできるので、製品ごとの発注ではなくまとめ発注もできるようになります。発注の手間も仕入れコストも下がり、一石二鳥です。
注文書作成・送付作業の自動化
発注業務をExcelで管理していると、発注内容を注文書へ打ち替える作業が発生し、手間がかかります。
この点、生産管理システムなら、発注情報をシステムに登録した段階で、出力ボタン1つで注文書などの帳票を自動作成・出力でき、非常に便利です。
さらに、EDIと連携し注文書送付業務を電子化すれば、仕入先ごとの専用電子ポストに自動振り分けされて発注が届くので、作成工数や印刷代、郵送費などの間接費を大幅に削減することができます。
RPAの活用でさらに便利に
RPAと連携させれば、さらに業務の効率化が図れます。たとえば、納期遅延している仕入先を発見した場合には、自動で催促メールを送ることも可能です。定型業務を自動処理化することで、単純作業からの拘束から解放され、本来的な業務に専念することができ、生産性が上がります。
効率化のポイント:最適な仕入先を選定する
調達業務を効率化するための第2のポイントは、最適な仕入先の選定です。
調達業務をスムーズに行い、かつ仕入れコストを最適化するには、納期や仕入れ価格など仕入先の取引状況を分析して、最適な仕入先を検討することが重要です。
生産管理システムを導入すると、次の4点による仕入先の見直しが可能になります。
- 納期遵守率
- 品質データ
- 誤納品率
- 仕入先のキャパシティ確認
納期遵守率
納期遅延するような仕入先と取引していては、適切な製造スケジュールを引くことができません。
生産管理システムでは、仕入先の回答納期と実際の納品日のデータを保存し、仕入先の納期遵守率を算出することができます。仕入先ごとの遵守率を算出して比較することで、安心して取引できる仕入先を選定したり、遵守率が低い仕入先に注意を与えたりすることができます。
品質データ
安定したものづくりには、仕入先の技術レベルも非常に重要です。納期通りに納入されても、品質が悪ければ再加工・再注文の工数や費用がかかってしまいます。しかし、実際には納品物の管理ルールがないために、品質チェックできていない会社がほとんどです。
生産管理システムでは、仕入した部品への追加工の実績を元に、仕入先の加工品質を集計することができます。複数の仕入先を比較検討し、求める品質の製品をきちんと納品できる仕入先を選ぶことで、自社製品のクオリティを維持することができます。
誤納品率
ときには、発注したものとは違うものが届いてしまうというケースもあります。数としては少ないですが、起こってしまうとすべて発注し直しとなり、製造に大きな影響が出ます。
生産管理システムでは、発注履歴と受入合格数のデータを集め、仕入先ごとの誤納品率を算出することができるので、誤納品率が低い仕入先を選定することが可能です。
仕入れ先のキャパシティ確認
信頼できる仕入先だからといって発注しすぎてしまうと、仕入先がキャパシティオーバーになり納期に間に合わないという事態になります。
特に、特定の仕入先しか作れないものを発注する場合には、仕入先の負荷状況を正しく把握しておかないと、製品の最終納期を引くことができません。
この点、生産管理システムを利用すると、外注加工業者の負荷状況を一覧で確認でき、キャパシティオーバーしていないか容易にチェックできます。キャパシティに余裕があれば受注時の製品納期を早めたり、きつそうであれば納期を遅らせたりといった調整も可能です。
効率化のポイント:在庫管理
製造現場に安定した部品供給をするのが調達業務の重要課題であり、ここにも調達業務効率化のポイントがあります。安定した部品供給にとって重要なのは、在庫管理です。在庫管理のポイントは、次の2点です。
- 適正在庫の把握
- 計画性のある在庫管理
適正在庫の把握
在庫管理は、現在在庫数から引当済み在庫、受注残等を差し引いた有効在庫(実際に使える在庫)の管理が大切です。しかし、この管理を現場の目検討で行ってしまっている会社が多くみられますが、これでは情報とものが一致しにくく、いざというときの在庫不足や過剰在庫につながります。
生産管理システムを導入すると、部品の引当や在庫補充時に、現在庫と未来の有効在庫情報を確認できます。過剰に仕入れた在庫を有効在庫に戻すこともできるので、在庫の適正化が図れます。
在庫を正しく管理する文化が生まれると、社会情勢なども考慮したうえでの適正在庫を判断できるようにもなり、世の中の変化に強い製造現場を実現することができます。
計画性のある在庫管理
いったん在庫不足などのトラブルが発生すると、リカバリーは容易ではありません。トラブルは未然に防ぐのが一番です。そのためには、過去の履歴をもとに計画的に在庫管理することが必要です。
生産管理システムでは、これまでの購買履歴をデータとして蓄積していくことができます。これにより、過去に調達リードタイムが長かったものは先行手配しておく、よく使う部品は予め在庫を確保しておくといった在庫の適正管理が可能になります。
調達業務の効率化は利益アップの重要なキーワード
調達業務は、製造の要です。調達業務がスムーズでなければ、クオリティの高い製品を安定して供給することができません。実際に調達部門改革を行った会社では、調達部門の工数が半減し、残業に追われることもなくなり、製造など他部門の業務もスムーズに回るようになって業績向上に繋がったそうです。「業務改善に取り組みたい」という会社は、まず調達業務の効率化に取り組んでみてはいかがでしょうか?
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