生産管理

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製造業における安定経営のキーワードは「保守」!先行き不透明な時代でも利益を上げ続ける秘策とは?

製品の開発・製造などと異なり、どちらかといえば縁の下の力持ち的な業務である保守。新型コロナウイルスで世界的な混乱が生じ、先行きが不透明な今、この保守が経営を支える重要業務として注目を集めています。

製品の受注数は減ったものの、保守ビジネスを収益源の中核に据えることで、経営の安定化につなげることに成功した会社もあります。今回は、正しい保守のあり方と保守を実施することによる経営メリットについてご紹介します。

「適切な保守」により顧客満足度アップ

保守の第1のキーワードは、「適切な保守」です。重要なのは、

  1. 保守情報を共有可能にしておく
  2. 適切なタイミングで正しいメンテナンスを実行する

の2点です。

1.保守情報を共有可能にしておく

メンテナンスを実行したら、作業の日付や作業内容、部品交換の履歴を記録し、誰でも確認できるようにデータ化し、共有しておくことが重要です。しかし、ものづくりの履歴は残していても、保守の履歴を残している会社は少ないのが実情です。

お客様から連絡を受けて慌てて対応したような場合には、取り急ぎ作業シートを手書きしてファイリングして終わりという、その場しのぎの対応が増えます。しかし、これでは、交換履歴やメンテナンスによって得られた知見を積み上げて、今後の保守に活かすことができません。

生産管理システムを利用すると、いつ、何を交換したのか、次の交換時期はいつなのかをデータ化しておくことができ、検索するだけで必要な情報にすぐにアクセスすることができます。

2.適切なタイミングで正しいメンテナンスをする

正しくメンテナンスできないと、故障の原因になりかねません。しかし、製品が納品された後の情報は管理されておらず、保守担当に製品仕様を共有できていないので、場当たり的に保守を行っているケースが見受けられます。

この点、生産管理システムを利用すると、製番・製品ごとのCADデータや技術文書を紐づけて保存しておくことができるので、正しい仕様を確認して間違いのないメンテナンスが実行可能になります。

「確実な保守」により安定した収益を実現

保守の第2のキーワードは、「確実な保守」です。重要なのは、

  1. メンテナンス漏れを防ぐ
  2. 計画的に部品や作業員を手配
  3. 保守込みで利益の上がる製品を見極めること

の3点です。

1.メンテナンス漏れを防ぐ

製品納品後は、保守も重要なサービスです。しかし、日々の繁多な業務に追われて、納品したままアフターフォローをしていない会社が多く見受けられます。

部品の交換時期を逃したまま時が経ち、お客様から「機械が壊れた」という連絡を受けて、慌てるケースも少なくありません。急な対応を迫られても、部品の調達や作業者の確保はすぐにはできるとは限らず、クレームの原因になります。

このような事態を避けるためには、メンテナンスのスケジュールをしっかり把握し、メンテナンス漏れを防止することが大切です。生産管理システムで部品の交換サイクルを登録しておけば交換時期が近づいたときに通知が届き、「もうすぐ交換時期ですので、◯月◯日に訪問させていただいてもよろしいですか?」と、能動的に営業提案を行うことが可能になります。

また、タイミングよく保守を実施することで製品の長期稼働を実現し、顧客の信頼度・満足度を上げることにもつながります。

2.計画的に部品や作業員を手配

故障や不具合が生じてから急に連絡を受けても、部品や作業スタッフの確保がすぐできるとは限りません。お客様はすぐにでも何とかして欲しいと思っているのに、応えられなければ、不信感やクレームにつながってしまいます。これを避けるために、やむなく無償対応すれば、当然のことながら利益を上げることはできません。

また、保守を見越して計画的な調達をしておかないと、急なメンテナンスが発生した場合に、製造に必要な部品で補充してしまい、製造に大きな影響を与えてしまうことも考えられます。

もし、メンテナンス時期が予めわかっていれば今後必要になる部品を把握し、計画的に部品や作業員を余裕もって手配することができます。メンテナンス訪問予約の際に、「A部品が必要になるので、次回メンテナンス時に交換させていただきます」と伝えられるので、無償対応もせずに済みます。生産管理システムを導入すれば、こうした対応が可能になります。

3.保守込みで利益の上がる製品を見極めること

利益率の高い製品を見極めることは、経営上、非常に重要です。このとき大事なことは、販売時だけでなく保守も含めた長期的な視野を持って判断することです。

たとえば、A製品は販売時に500万の利益、B製品は400万の利益が出るとします。販売段階では、A製品の方が利益が出ているように見えますが、その後のメンテナンスまで考慮すると、10年後にはB製品のほうが利益率は高いこともありえます。

生産管理システムで保守込みの原価を確認すると、製品ごとの最終収益を分析することができ、「最終的に儲かる製品」を把握できるようになります。

保守履歴データで製品改善・開発も可能に

生産管理システムを利用して保守の履歴を蓄積することは、製品の改善や新製品の開発にも大いに役立ちます。

保守データをもとにより良い製品づくりを実現

メンテナンス履歴を蓄積していくと、特定の部品が壊れやすい、同じ箇所にトラブルが多いというケースを発見することができます。これは、製品の設計改善にとって非常に重要な情報です。しかし、場当たり的な対応ばかりをしていると、せっかくの知見を社内に積み上げていくことができません。

生産管理システムで故障履歴やクレーム履歴のデータを積み上げ、分析を行い、設計部門にフィードバックすれば、次回設計時には問題点に対処した製品改良ができるようになります。

メンテナンス性の高い製品づくりを実現

保守データを集積すると、交換回数が多い部品=メンテナンスの必要性が高い部品を把握できるようになります。

将来メンテナンスする部分が予めわかれば、メンテナンス部分を前の方に出しておいたり、ユニット化しておいたりするなどして、部品交換しやすい構成で設計することが可能です。これにより、現場のメンテナンス作業は大いに簡略化できるでしょう。

保守業務は安定経営を実現する重要なキーワード

大量消費時代が終わったいま、製品を売って終わりではなく、製品を通じて息の長いサービスを提供するサービタイゼーション(servitization)が製造業の主流になりつつあります。このような流れのなか、保守業務が会社を救うキーパーツになるのは確実といえるでしょう。保守サービスを自社の強みとすることで、先行き不透明な時代を生き抜いていくことができるはずです。


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カタログ 製品の詳細


 

田幸 義則
この記事を監修した人
入社後15年間、長野支店にてシステムエンジニアとして活動。
運送業、倉庫業のお客さまを中心に担当し、業務システム構築からインフラ環境構築等の経験を積む。
その後、製造業のお客さまも担当し、rBOM導入のプロジェクトにも関わるように。
16年目に現部門に異動し、rBOM全国支援の担当者となる。
現在はrBOMだけではなく、製造業全般のソリューション提案を手掛けている。
料理が趣味、これからお菓子作りにも挑戦しようか迷っている。
大興電子通信株式会社
ビジネスクエスト本部
インダストリー推進部
田幸 義則
【事例で学ぶDX】BOMを統合して経営を強化、コストダウンへ

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