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データのサイロ化を解消する、社内共通データベースの設計法とは?

データのサイロ化を解消する、社内共通データベースの設計法とは?

個別受注生産を行っている製造業では、データのサイロ化による問題に悩まされています。データのサイロ化によって引き起こされる問題の中には上流から下流への情報伝達の遅れや、似て非なる情報が各部門に点在するといったものがあります。

そこで本記事では、サイロ化による問題を解決するデータベースの設計方法をご紹介します。

データの部門最適化(サイロ化)による問題

前回の記事では、個別受注生産での度重なる仕様変更が起因する情報共有の問題と、これを解決する「製番」と「BOM」を軸にした社内共通のデータベース構築についてご紹介しました。

本記事では前回の続きとして、社内共通データベースの具体的な構築方法についてご紹介します。

前編となる前回の記事は以下よりご覧いただけます。

 

昨今では営業や設計、製造など部門ごとに業務の部門最適化が進んでいます。この部門最適化の影響により、データも部門ごとにサイロ化され、新たな問題が生じています。

サイロ化によって発生している問題の1つは、部門ごとに似て非なる情報が作成されてしまい、BOMデータが複数点在してしまうことです。

個別受注生産の製造業の現場では、元となるデータは同じものですが、業務に伴って自部門用のコピーを作成し、そのコピーに必要な情報を各部門が別々に加えていくことがあります。これらをそれぞれの部門が行うことで、似て非なるBOMができてしまいます。

このような状態では、仕様変更があったとしてもその情報がタイムリーに伝わらないことや、各部門がそれぞれのBOMを修正しきれないという問題も生じます。こうした課題を解決するためには、情報の更新や付加した内容が部門を越えていつでも確認できる社内共通のプラットフォームが必要です。

次章では、社内共通のプラットフォームを作るためにも欠かせない「製番」を軸にしたデータベース構築について解説します。

「製番」での串刺し管理で社内データベースを作成

社内共通のプラットフォームを作るためには、「製番」での串刺し管理が前提です。

見積条件や受注内容、金額、納期などのお客さま要件と紐づけて管理するものを「受注製番」と呼びます。この受注製番に見積から保守までのBOM情報を登録していくことで、川上から川下までデータ活用ができる状態になり、サイロ化を解消することができます。

次章では、実際に受注製番にBOM情報を登録する具体的な方法をご紹介します。

BOMデータを作る3つの方法

BOM情報を登録していくうえで重要なのは、なるべく人手を介さずに行うことです。

全てのBOM情報を手入力で登録する場合、膨大な時間と人手が必要です。手入力ではヒューマンエラーも考えられ、さらなるサイロ化が進む可能性もあります。一方、既存のデータを活用すれば、膨大な時間と人手をかけずにBOM情報を登録できます。また、サイロ化に歯止めをかけ共通のデータベース化を同時に進めることも可能です

以下では、人手を介さずにBOMデータ作りを行う3つの方法についてご紹介します。

方法1:これまで使ってきた部品表データを活用する

1つ目は、これまでに使ってきたExcelやCSVのデータをそのまま使う方法です。

個別受注生産を行っている企業でも、7割以上の部品は過去に作った製品と同じだと言われています。

まず、受注仕様が固まっていない固有部品は取り込まずに、確定したBOMを五月雨式に製番に登録していくことが重要です。データの追加や修正があった際には上流工程から登録します。こうすることで、後の工程にも入力されたデータが共有されるため、手間を減らしBOMデータを作ることが可能です。

方法2:CAD(2次元図面)を活用する

昨今、3次元CAD化に取り組んでいる企業も増えてきていますが、モノづくりの現場では2次元CADのままの企業も多く存在します。

この2次元CADのデータを活用することでBOMデータを作ることができます。そのためには、2次元CADのデータを抜き出す機能を活用し、Excelにデータを抽出するなどして部品情報のデータ化を進めるようにしましょう。

方法3:紙図面→PDFデータに変換する

CADを活用し始める前の古い図面は、未だ紙ベースで残っているというケースも多くあります。紙の図面はスキャンし、PDF形式で保存したうえで、画像データを認識し文字データとして抽出するOCR技術を活用することでデータ化が可能です。

上記を行うことで、紙情報のデータ化ができるためデータベースから図面を検索することができます。

次章では、以上のような製番によるBOM化を進められるソリューション、「rBOM」についてご紹介します。

データの一元化を実現する「rBOM」

大興電子通信の提供している生産・販売管理ソリューション「rBOM」は、どの部門からでもリアルタイムな情報の管理・共有が可能です。

案件、見積、受注管理、債権管理機能を備えた販売管理モジュールと、「リアルタイム統合部品表」を中核とした発注管理、債務管理、在庫管理、原価管理、予算管理機能を実装した生産管理モジュールにより、部品表中心のモノづくりを実現できます。

rBOMで実現する生産管理システムは、モノを作る範囲だけの機能ではありません。上流の業務を含め全てがBOMと関わりを持つ会社全体のシステムを作り、全体最適の考え方と、各業務がそれぞれ目的を効率的に達成できる部門最適の考え方を併せ持つシステムを提案します。


BOM化を実現する生産・販売管理ソリューション「rBOM」については
以下リンクよりご覧いただけます。
「BOM」を軸にした社内共通のデータベース構築にご関心の方はぜひ一度ご覧ください。

製品の詳細 カタログ


 

田幸 義則
この記事を監修した人
入社後15年間、長野支店にてシステムエンジニアとして活動。
運送業、倉庫業のお客さまを中心に担当し、業務システム構築からインフラ環境構築等の経験を積む。
その後、製造業のお客さまも担当し、rBOM導入のプロジェクトにも関わるように。
16年目に現部門に異動し、rBOM全国支援の担当者となる。
現在はrBOMだけではなく、製造業全般のソリューション提案を手掛けている。
料理が趣味、これからお菓子作りにも挑戦しようか迷っている。
大興電子通信株式会社
ビジネスクエスト本部
インダストリー推進部
田幸 義則
【事例で学ぶDX】BOMを統合して経営を強化、コストダウンへ

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