生産管理

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設計標準化のメリットとは?
標準化を実現するための方法やポイントをご紹介

設計業務

製品を製造するには、まず企画・設計が行われます。設計業務は知識や経験といったノウハウが必要となるため、特定の担当者に業務が偏っているケースがあるかもしれません。ベテラン、新人のどちらが設計業務を担当した場合にも、一定の品質を担保するには設計標準化が必要です。

ここでは、設計部門における業務の偏りで発生する「属人化」の問題と、問題解消に繋がる設計標準化について解説します。

設計業務の属人化による問題点

ノウハウが属人化している、特定の人に業務が偏っているといった問題はどの企業でも起こり得ることです。設計業務のように、専門的な知識や経験が求められる業務であれば、特に属人化しやすいといえるでしょう。まずは属人化によって、どのような問題が発生するのか確認しましょう。

トラブルに対応しにくい

属人化の最大の問題は、トラブルが発生すると他の人が対応できず、損失に直結する可能性がある点です。病気やけがによる欠勤はもちろん、何らかの事情で退職することになった際には、事業継続に支障がでる危険性も考えられるでしょう。そうした危険性を抑えるためには、複数の人が対応できるように業務を経験させるか、設計業務の標準化が必要です。

知識、ノウハウの継承ができていない

属人化は、担当者が業務を手放すことができない場合にも発生します。その理由は大きくわけて2つあり、「育成ができない」もしくは「ほかの人に業務を奪われると考えている」という状況が考えられます。

前者の場合は、育成のための時間を確保する余裕がないこともあるので、個人ではなく全体の業務を見直す必要があるでしょう。後者の場合は、スキルや時間の問題ではなく、特定の業務を「自分にしかできない」と思い込んでいる可能性があります。そうなると自分の評価や優位性を保つために業務を任せようとしません。「自分にしかできない」から「任せることができる」状態にできるよう、担当者の理解も必要となります。

設計標準化とは

設計業務

設計標準化では、部品・ユニットの仕様や属性に関する意図を明確にします。設計コンセプトやパラメーターの優先順位を明確にしてそれを守りながら、より良くなるように設計変更をする。そうすることで、業務の効率化や競争力のある製品を生み出す挑戦もできるでしょう。

また、一定の基準に従い作成した図面を標準図面として公開することで、その後は設計部門を経由せずに、すばやく制作手配ができるケースも考えられます。そうした設計標準化で生まれるメリットについて考えてみましょう。

設計標準化のメリット

品質の安定

標準化に取り組むことで、担当者による品質のばらつきを抑えることができます。一定の品質を担保できるようになるため、「自分にしかできない」状態がなくなり、属人化の解消に期待が持てるでしょう。ほかにも、基準となる図面があることで漏れや重複もなく業務をこなすことができます。

工数削減・能率向上

標準化によって業務やノウハウの継承がしやすくなり、教育時間の短縮に繋がります。また、設計部品表の流用によって、類似品の設計工数を削減することも可能です。例えば、類似品の設計であれば過去の図面を確認して流用、または一部の描き換えで対応できる場合があります。

ただし、設計部品表の流用には、必要な情報を短時間で確認できる環境づくりも必要です。図面をファイリングしている場合、過去の情報が多いと探すだけで時間がかかるかもしれません。効率的に作業を進められる環境づくりも検討しておきましょう。

納期短縮

標準化によって業務が覚えやすくなると、ムダな工数を省くことも可能です。また、品質が安定すれば手直し品も減り、直行率向上にも繋がるでしょう。品質を安定させて、作業工数を減らすことで顧客にスムーズに製品を納品できる状況がつくれます。

システム化による設計標準化の促進

計画力向上や設計標準化といったモノづくりの現場に役立つシステムとして、工程管理システムが開発されています。

業務をシステム化することにより、設計書のペーパーレス化、関連資料の一元化が容易にできます。保管している過去の情報をすばやく調べられるので、類似の図面を探す時間を短縮して、容易に流用できるようになります。そのため、ベテラン設計者の部門表や図面を参照しやすくなり、ノウハウの継承をしやすくなるでしょう。必要な情報を必要なときに取り出せることで、設計標準化の実現を目指せます。

また、設計部門の情報だけでなく、モノづくりに関わる情報を一元管理できるシステムなら、部門をまたいだ情報の確認もできます。設計変更時も、手配状況を確認し、進行作業への影響を判断して、適切な対応をとることが可能です。

属人化脱却に向けた設計標準化

属人化はどの業種でも起こり得る問題です。特に設計業務のように、知識や経験を必要とする業務では発生しやすい問題といえるでしょう。そうした属人化の問題を解消し、誰が作業をしても一定の品質を保証するためにも、設計標準化に取り組んではいかがでしょうか。

設計標準化によってノウハウの継承が可能になれば、担当者が不在の場合にもトラブルに対応できるようになります。品質が安定することにより、業務効率の向上にも期待が持てるでしょう。そのための環境づくりとして、業務のシステム化も有効です。工程管理システムの導入も検討し、設計標準化に取り組んでいきましょう。

また、下記記事では、設計を大幅に効率化する「モジュール化」もご紹介していますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。


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田幸 義則
この記事を監修した人
入社後15年間、長野支店にてシステムエンジニアとして活動。
運送業、倉庫業のお客さまを中心に担当し、業務システム構築からインフラ環境構築等の経験を積む。
その後、製造業のお客さまも担当し、rBOM導入のプロジェクトにも関わるように。
16年目に現部門に異動し、rBOM全国支援の担当者となる。
現在はrBOMだけではなく、製造業全般のソリューション提案を手掛けている。
料理が趣味、これからお菓子作りにも挑戦しようか迷っている。
大興電子通信株式会社
ビジネスクエスト本部
インダストリー推進部
田幸 義則
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