生産管理 基礎知識

 

製造業を加速するPDM!基本からメリット、導入ポイントまで徹底解説

PDM

製造業の業務フローを効率化し、生産性を高めるために役に立つのがPDMと呼ばれるシステムです。PDMを使用しておらず、古いシステムを運用し続けているなら、より高い費用対効果を得るためにもPDMの導入を検討してみてください。

今回は、PDMの概要や導入のメリット、機能、導入におけるポイント、おすすめの製品についてご紹介します。

PDMとは?

PDM

PDMはProduct Data Managementを略した言葉で、「製品情報管理」と訳すことができるシステムです。

PDMを用いることで、製品に関する全ての工程のデータを管理できます。企画や設計はもちろん、在庫管理やコスト管理などの生産情報の管理、品質管理、サプライチェーンに属する関連企業の情報連携など、管理できるデータは多岐にわたります。

PDMとPLMの違い

PDMと似たような言葉に、PLM(Product Lifecycle Management)があります。「製品ライフサイクル管理」と訳すことができ、製品の企画から製造、廃棄、リサイクルに至るまでの全ての工程を管理しようという取り組みを指します。PLMを実現することで、過去の課題を活かすことによる製品開発力の強化、生産の効率化、顧客情報の活用などにつなげることができます。

PLMを実現するために使用されるシステムが、PDMです。PLMは取り組みであり、「製品のライフサイクルを管理しよう」という考え方ですが、PDMはそれを実現するための具体的なシステムを指します。

PDM導入の3つのメリット

PDMを導入することで、以下の3つのメリットが得られます。

情報の一元管理

PDMは、製品のライフサイクルに関する情報を全て管理するためのシステムです。そのため、従来は別々のシステム、部門、PCに散らばっていた企画書、設計図、部品表、生産計画、顧客管理、営業実績などの情報が一元管理されます。

それぞれの情報がひとつのシステムにまとめられることで、どの部門からも同じ情報にアクセスできるようになり、情報の共有や検索、部門間の連携が素早くなります。

業務フローの標準化

製造に関する情報をひとつのシステムで管理することにより、業務フローを一本化し、誰が関わっても同じ業務が行えるようになります。

このように業務フローを標準化できれば、無駄な工程やスキル差によるムラを解消して高い品質を維持できるようになります。

生産性の向上

複数のシステムをバラバラに運用していると、作業の効率化も各部門の努力に依存することになり、無駄が発生しやすくなります。

PDMを導入すれば情報の管理や業務フローがシンプルになるため、生産性の向上につながります。

PDMの主な機能

PDM

製品によって細かく異なりますが、PDMに搭載されている主な機能は以下のとおりです。

商品情報の管理

商品に関する情報を管理する、PDMの基本とも言える機能です。設計データから必要な部品、ステータス、バージョン情報などさまざまな情報を管理します。商品と部品を親子関係でひも付けるなどして、どの部門からも必要な情報がすぐに引き出せるようになっています。

図面/文書の管理

商品に関する図面や文書などを、商品情報とひも付けて管理します。CADシステムと連携させることで、CADで作成した設計図をPDMへスムーズに保存するなどの機能があります。

部品/付属品の管理

部品や付属品を管理することで、適切な在庫管理を可能とします。在庫は不足していると納期への遅れや一部部門への負荷増加などにつながりますが、過剰でもキャッシュフローが滞ってしまうため、適正な量を維持することが重要です。PDMを用いることで、材料に関するデータを可視化できます。

ワークフローの可視化

業務の順番に合わせてワークフローを設定し、承認により進めていく機能です。その工程で承認されない限りは次の工程へ移れないため、ワークフローを可視化し、進捗状況をリアルタイムにチェックすることができます。

検索機能

PDMでは検索機能を用い、セキュリティレベルに応じた情報にアクセスできます。製品数や部品数が多くなるほど情報は複雑化しますが、PDMの検索機能を用いることで必要な情報へのアクセスが格段に早くなります。

セキュリティ機能

役職やグループに応じてセキュリティレベルを設定し、アクセスできる情報を制限することができます。アクセスできる情報と更新できる情報に分けて設定するなど、細かいコントロールを行うことも可能です。

PDM導入のポイント

PDMは製品の製造フローを効率化する便利なシステムですが、安易に導入していいわけではありません。

例えば、PDMを導入するなら、一部門ではなく全社的な戦略としてトップダウンで進めていく必要があります。そのためには多少時間をかけてでも全従業員へ導入することを浸透させ、フローが複雑にならないよう慎重に整理し、定期的に改善を行えるような体制を整えることが重要です。

主なPDM製品

PDM製品には、以下のようなものがあります。

Obbligato III

NECが提供するPDMです。20年以上にわたる運用とNECのAI・IoT技術との融合により、多数の顧客を抱えています。

PLMソリューション(日鉄ソリューションズ)

日鉄ソリューションズが提供している、さまざまなシステムを駆使したソリューションズです。ひとつの製品ではないですが、さまざまな製品を顧客のニーズに合わせて活用することで、PLMを実現するためのサポートを行っています。

rBOM

大興電子通信が提供しており、個別受注生産や多品種少量生産に適しているPDMです。部品表をベースにした生産管理システムであり、販売管理システムとも一体となることで製造に関する情報をリアルタイムに可視化・共有できます。

PDMで企業の成長につなげよう

PDMを導入することで、情報の一元管理や生産性の向上、品質の向上などさまざまなメリットが得られます。ただし、製品の情報を一元管理することから導入には大規模な改革が必要なケースもあり、慎重に検討し進めることが大切です。

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田幸 義則
この記事を監修した人
入社後15年間、長野支店にてシステムエンジニアとして活動。
運送業、倉庫業のお客さまを中心に担当し、業務システム構築からインフラ環境構築等の経験を積む。
その後、製造業のお客さまも担当し、rBOM導入のプロジェクトにも関わるように。
16年目に現部門に異動し、rBOM全国支援の担当者となる。
現在はrBOMだけではなく、製造業全般のソリューション提案を手掛けている。
料理が趣味、これからお菓子作りにも挑戦しようか迷っている。
大興電子通信株式会社
ビジネスクエスト本部
インダストリー推進部
田幸 義則
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