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多品種少量生産とは?求められる背景、メリット、問題・課題等を完全解説

多品種少量生産とは

多種類の製品を少量ずつ製造する多品種少量生産。顧客のニーズに対応していく有効な戦略として、採用する製造業企業も増えてきています。
そこで今回は、多品種少量生産の基本やメリット、よくあるデメリットへの対策などをわかりやすく解説します。

多品種少量生産とは

多品種少量生産の定義

多品種少量生産とは、多種類の製品を少量ずつ製造する生産方式のことです。
同じ製品を大量生産する方式と比べると、製品に合わせて指示や作業工程が都度変わるため作業が煩雑化・工数が増加し生産コストが高くなりますが、その反面、顧客ニーズに合わせた生産が可能です。

多品種少量生産が求められる背景

多品種少量生産が求められるようになった背景としては、「顧客ニーズの多様化」 「Industry 4.0」 「マスカスタマイゼーション」 という3つの背景があげられます。

かつては同じものを大量に作れば安定して売れるという時代もありましたが、昨今は顧客ニーズが多様化してきており、大量生産によって安定的な売上を維持するのは難しくなってきています。顧客1人ひとりのニーズに応えた製品を作れればよいですが、個別にカスタマイズすればするほどコストは増大してしまうため、それを実施することは現実的ではありません。

さらに昨今は、IT・IoTの技術が発展したことで、多くの企業でそれらを有効活用して市場競争力を高めようとする動きが高まってきています。

こうした背景をうけて、「Industry 4.0」では今後の製造業のあり方としてITを活用して生産性を向上し、多様化している市場ニーズに応えていくことが提唱されました。
その目標地点として注目されているのが「マスカスタマイゼーション」です。マスカスタマイゼーションは大量生産と受注生産のメリットを掛け合わせた生産概念で、大量生産の「大量仕入れで原価コストを下げられる」「リードタイムを短縮できる」といったメリットを持ちながら、受注生産の「顧客ニーズに応えられる」というメリットも持ち合わせた1つの理想像です。

こうしたマスカスタマイゼーションの実現が目指される昨今ですが、実際にこれらの世情・背景をうけて、多品種少量生産に移行するケースが増えてきています。
例えば、「すべてオーダーメイドで生産をおこなっていた個別設計型の企業が、生産効率を上げるために一部を繰り返し型とするようになった結果、多品種少量生産をしている」というようなケースです。

多品種少量生産が求められる産業分野

前述のような顧客ニーズの多様化はさまざまな産業分野で起こっているため、多品種少量生産が求められる産業分野も多岐にわたります。
中でも例をあげるとすると、個人・地域ごとの好みがあってニーズが多様な「ファッション業界」「食品業界」や、顧客や特定の利用シーンごとにカスタマイズされた特注品が必要な「医療機器産業」「産業機械・電子部品業界」などは、特にイメージしやすいのではないでしょうか

多品種少量生産のメリット

多品種少量生産のメリットは、主に以下2つです。

幅広いニーズに対応できる

品質・機能・デザインなどを顧客ニーズに合わせて生産できるため、顧客満足度の向上や受注の増加につながります。地域や顧客ターゲット層ごとに生産して、戦略的に売上増加と、単価・粗利の向上を狙うことが可能です。

過剰在庫を抱えるリスクが減る

顧客ニーズに合わせた製品を少量ずつ生産するため、製品在庫の総量は少なくなります。
市場需要や動向に合わせて生産量を調整していけば、大量生産と比べて過剰在庫を抱えるリスクを減らすことができます。また、場合によっては完全受注生産にして過剰在庫を極力生まないようにすることも可能です。

多品種少量生産における問題点

多品種少量生産では、大量生産など他の生産方式と比較して問題になりやすい点もあります。
具体的には、以下6つです。

コストの増加

大量生産と比べると、大量仕入れで原価コストを抑えることができない点でコストが増加しやすい。
また、作る製品にあわせて指示や作業手順を変えることになるため、指示や作業が煩雑化するなど人的工数が肥大化してコストが高くなりやすい。

生産計画の難しさ

多様な製品を生産するので、扱う部品・材料なども種類が多くなる。また、段取り替えなどの作業を効率的におこなえるように工程計画を都度立て、手配・調整などをする必要がある。
それらの結果として、生産計画が複雑化・煩雑化するため難易度が上がる。

品質確保の難しさ

同じものを繰り返し生産している場合は、耐久性などの製品仕様も次第に改善されていき高品質なものにブラッシュアップされている場合も多い。また作業員も同じ作業を繰り返しおこない、慣れや技術を磨き込んだことによる技能向上・経験値の蓄積があるため仕事の品質が上がっている。
しかし、多品種少量生産では都度異なる製品を生産することになるため、このような作用が起こりにくく、品質確保が難しくなる。

在庫管理の難しさ

多品種化することで、扱う部品・材料や製品の種類が多くなる。
取り扱う品目が増えるため、なにが・どこに・どのくらいあるのか、在庫管理が煩雑化する。

純原価を把握する難しさ

多品種少量生産では製品ごとに設計・生産をおこなうため、単品コストが都度見積もりになる。
また、頻繁に仕様変更が起こりやすいことに加えて、設計変更により未使用の材料が出てくることも多い。
こうした要因から、純原価を正確に把握することが難しくなる。

作業員の多能工化

同じものを繰り返し生産している場合は、必要な技術・ノウハウも変わらないためそれらが洗練されていくが、多品種少量生産の場合は都度必要な技術・ノウハウが変わったり、新しい技術にチャレンジしたりする必要も出てくるので、どうしても多能工化が必要になる。

多品種少量生産の課題をどう解決するか

前章であげた問題を解決するためには、前提として問題点をそれぞれ要因に切り分けて対策を講じていくことが必要ですが、ここでは一般的な解決策を6つご紹介します。

①受注ごとに最適な生産方法を選ぶ

可能な限りコストを抑えるためには、受注生産にするのか、在庫を持つかの判断を製品ごとでおこなう方法もあります。具体例として、受注頻度が少なくロットサイズが大きい「少頻度・大ロット」の製品の場合は、段取り替えの回数が少なく済み、1回の受注で生産数を稼げるので、受注生産が適しています。
これが「高頻度・小ロット」の場合なら、段取り替えの回数は多く、1回の受注で生産数も稼げないため、在庫を持って段取り替えの回数を削減する対応が適しています。

より詳しくは、以下の記事で解説しています。

②段取り替えの回数を減らす

多品種少量生産では、段取り替えの回数が増えることでコスト増加してしまいます。
そこで、なるべく段取り替えの時間を短縮したり、回数を減らしたりする取り組みが必要です。
段取り替えの時間を短縮するには、生産ラインを停止して段取り替えをおこなう「内段取り」と生産ラインを停止せずに段取り替えをおこなう「外段取り」に分けて、各作業を改善する方法があります。

まず、内段取りはラインを停止させてしまうので、作業を洗い出して、外段取り化できる作業が含まれていないか整理します。そのうえで、いくつかの作業をまとめておこなえないか、ムダな作業はないか、どうしたらさらに時間短縮できるかなどを考えていきます。
一方、外段取りでは、準備品置き場の見直しや特定の部品の専用台車化、手順の見直しと標準化などをおこなうと作業効率化を図れます。

③受注〜製造までの各工程を効率化する

生産工程全体を見直すと、削減できるムダ・効率化できるポイントが見つかる場合があります。
例えば、部門間のコミュニケーション方法を見直す、生産ラインのレイアウトを見直す、部品表のルールを見直す、といった地道な改善がコストダウンにつながってきます。
実際にあった例では、「調達部門に、資材の手配状況を確認するための電話・メールが頻繁に届く」という状況が対して、資材の手配状況がどの部門からでもひと目でわかるようシステム上で情報をまとめたところ、これまで発生していた問い合わせ対応業務がなくなってコストダウンに成功した、という事例がありました。こうした1つ1つの効率化を積み上げて、コストダウンすることが改善につながります。

④汎用的なものは見込み生産・在庫確保する

多品種少量生産とはいえ、汎用性の高い部品や継続的に販売が期待できる製品は一定存在します。そこで、汎用性の高い部品はあらかじめ多めに仕入れたり・生産して在庫を確保しておいたり、よく売れる製品はある程度見込みで生産をおこなって在庫を確保しておいたりすると、仕入れコストの低減や生産効率の向上につながります。

⑤生産管理システムを導入する、見直す

生産管理システムは、製造現場の納期・在庫・工程・コストといったモノづくりの情報を管理するシステムです。部品表、調達資材の手配状況、在庫状況、工程進捗、原価などさまざまな情報を見える化して、生産管理業務を効率化する機能を持っています。

生産管理システムは、製品によって備えている機能・解決できる課題が異なります。得意とする生産方式なども異なります。多品種少量生産の企業が、大量生産の企業向けに最適化された生産管理システムを導入していても、その効果や便利さを感じられずに失敗してしまいます。

自社にあった生産管理システムを選び、導入・乗り換えをすることも課題を解決する手段の1つとしておすすめです。
弊社でも、多品種少量生産・個別受注生産の企業さま向けに特化した生産管理システム「rBOM」をご提供していますので、もしご興味ある方は以下より詳細をご覧ください。

▼多品種少量生産の企業向けに特化した、生産管理システム「rBOM」
https://www.daikodenshi.jp/daiko-plus/production-control-rbom/

ここまで多品種少量生産でよくある問題・解決策をご紹介してきましたが、実際に多品種少量生産の企業が進捗・原価把握ができない…といった課題を解決した事例を以下記事でまとめています。
ぜひこちらも参考にしてください。

 


多品種少量生産の課題を解決する、生産管理システム「rBOM」
さまざまな課題を解決できる生産管理システム「rBOM」については、下記よりご覧いただけます。

カタログ 製品の詳細


 

田幸 義則
この記事を監修した人
入社後15年間、長野支店にてシステムエンジニアとして活動。
運送業、倉庫業のお客さまを中心に担当し、業務システム構築からインフラ環境構築等の経験を積む。
その後、製造業のお客さまも担当し、rBOM導入のプロジェクトにも関わるように。
16年目に現部門に異動し、rBOM全国支援の担当者となる。
現在はrBOMだけではなく、製造業全般のソリューション提案を手掛けている。
料理が趣味、これからお菓子作りにも挑戦しようか迷っている。
大興電子通信株式会社
ビジネスクエスト本部
インダストリー推進部
田幸 義則
【事例で学ぶDX】BOMを統合して経営を強化、コストダウンへ

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