製造業のデジタル化とは、ロボットやシステム、IoTなどのデジタル技術の応用によって、アナログで非効率な業務を改善し、生産性を向上させることを指します。Society5.0 が提唱されたことで、IoTやAIを活用して効率化を実現する「DX」に注目が集まっていますが、DX推進の第一段階としてデジタル化の推進が求められています。
本記事では、製造業においてデジタル化・DX推進の流れが高まっている背景と、企業力を強化するデジタル活用方法についてご紹介します。
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製造業のデジタル化とDX化
製造業のデジタル化は、アナログな業務をデジタル技術の活用で業務改善し、効率化を図ることを目的としています。また、DXは、デジタル技術やデータ活用により、ビジネスモデルを抜本的に変革し企業競争力を高めることを目的としています。つまり、デジタル化はDX推進における第一段階であり、まずはデジタルを活用することが求められています。
実際に、日本国内では科学技術政策の一環として、Society5.0が提唱されています。Society5.0とは、IoTによって全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、知識や情報を共有し、分野横断的な連携を実現する未来社会のことです。Society5.0の推進が、製造業の課題である技能伝承や生産の効率化などに寄与すると考えられています。
Society5.0 を実現するために、製造業をはじめとした企業としては、DX化を推進し、よいモノやサービスを生み出すことが重要となってきます。
製造業のDX推進が高まる理由
ここでは、DX推進の流れが加速している背景として、「少子高齢化や技能伝承の必要性」「競争優位性の低下」「2025年の崖」について紹介していきます。
少子高齢化や技能伝承の必要性
日本では少子高齢化に伴う労働人口の減少が問題となり、今後ますます労働力の確保は困難になっていくと考えられます。製造業では専門的な知識や技能を保有した職人の高齢化も進んでおり、継承者不足にも悩まされています。
加えて、国際市場の変化のスピードに対応していくためには、限られたリソースを最大限活用していく必要があることから、機械による自動化を進める必要性が高まっています。
競争優位性の低下
海外の企業がデジタル化を進め、環境の変化にも柔軟に対応し、企業内データを有効活用する形で競争力を高めています。一方、日本の製造業のデジタル化は海外と比較しても進んでいないことから、競争力の低下が懸念されています。
2020年版のものづくり白書によると、競争力を高めるためには、環境変化に対応できるよう、企業変革力の強化(ダイナミックケイパビリティ)が重要となります。このダイナミックケイパビリティの要素は、分解すると「感知」「捕捉」「変容」の三能力にわけられ、これらの能力を高めるためには、デジタル化が有効であると述べられています。
「2025年の崖」の存在
多くの企業がDXへ注目するきっかけとなったものの1つとして「2025年の崖」があります。「2025年の崖」という言葉は、2018年に経済産業省が発表したDXレポートで登場しました。
DXレポート内では、既存システムの複雑化・ブラックボックス化によって、横断的なデータ活用が困難であることが問題とされています。また、既存システムの問題を解決し、データ活用を実現するためには、業務自体の見直し(経営改革)が課題となっているとされています。
これらの課題が2025年までに克服できない場合、DX化の遅延だけでなく、2025年以降、最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性(2025年の崖)があると指摘されています。
企業力強化を目的とした8つのデジタル活用
実際にDXを推進する際にはどこからデジタル化を進めていけばよいのでしょうか。ここでは8つの観点からデジタル化を検討する箇所について紹介します。
詳しい内容はこちらの資料でも説明していますので、網羅的に読みたい方はこちらからご覧ください。
① 生産計画
製造業において精度の高い需要予測と、それをもとにした綿密な生産計画を立てることは今後ますます重要になります。例えば、資材調達の面でムダをなくしたり、製造機器・人材の稼動にもムリやムダが無いように最適化を進めたりすることが挙げられます。
これらを実現するためにポイントとなってくるのは、緻密な生産計画を立てることに加えて、状況に応じて臨機応変に対応できる現場力です。従来の経験や勘に裏付けられた計画力をもとにITシステムを活用して誰でもできるデジタル化を進めていく必要があります。
製造業においてムリ・ムダのない生産計画の立て方や運用方法についてはこちらからご覧ください。

② ものづくり革新・強化
ものづくりプロセスの革新・強化を実現するためには、古い概念にとらわれず、新たな管理技術や手法を取り込んでいく必要があります。作業導線の可視化や品質検査などを実現するスマートファクトリーやIoTを取り入れたデジタル化を進めることで、業務が滞りなく効率的に生産が行なえるようになります。
ものづくり革新の具体的な実現方法にご興味をお持ちの方は以下からご覧ください。

③ 製品企画・設計
製品企画・設計のプロセスをデジタル化することで、設計者を支援する高度な業務改革が実現できる可能性があります。例えば、製品の企画・設計の段階において過去にストックしていた図面情報を流用することで、設計者の負担を低減することができます。
製品企画・設計をデジタル化するためには、AIを活用した類似図面検索や部品のモジュール化の提案(AIが作成、レコメンドしてくれる)などのシステムを用いる方法も構想しています。
設計業務のデジタル活用例に関しては、こちらを合わせてご覧ください。

④ サービス
保守保全ビジネス拡大のために、技術にかかわる情報をデジタル化していくことで、IoTによる遠隔監視サービス事業などのビジネスモデル化を図れる可能性があります。
生産管理のIoT化については以下からご覧ください。

⑤ 販売・マーケティング
販売管理や顧客管理、市場予測、トレンド分析など、製造業を取り巻く環境には様々なデータがあります。そのデータを利活用することにより、見積もりの精度向上や提出までの期間を短縮するなど、販売機会の損失や受注率の向上が期待できます。
製造業のマーケティング部門がぶつかる課題とその解決策は以下で詳しく説明しています。

⑥ サプライチェーンマネジメント
サプライヤーとのコミュニケーションをデジタル化することで、より強固な生産体制を構築することができます。サプライヤーを評価すること、自社にとって有利なサプライヤーを選定できること、市場の供給状況に応じて最適な調達先を選定できることで企業の生産力強化を実現します。
サプライチェーンマネジメントの背景やメリットも合わせてご覧ください。

⑦ 人材育成・技術伝承
かねてより、製造業では技術者の高齢化が問題視されています。この問題を解決するためには、一日でも早くベテラン技術者の技術をデータ化し、それをもとに技能伝承に取り組む必要があります。また、人ではなくシステムやロボットなどで代用する手段も検討すべきです。
実際にデジタル技術を活用して技術伝承を実現した例をご紹介しています。ご興味ある方は是非ご覧ください。

⑧ BCP・ニューノーマル対応
BCP対策・ニューノーマルへの対応など、これまで想定していなかった対応も考慮すべきです。例えば、ペーパーレス、リモートワーク、様々なセキュリティ対策、自然災害などへの対策として、製造拠点やサプライヤーの分散など多くの対策が必要です。
具体的な対策方法については、以下で詳しく解説しています。

製造業のDX化は大興電子通信にご相談ください
いかがでしたでしょうか。上記でご紹介したように、企業の競争力強化のためには様々な観点からデジタル化に取り組んでいくことが必要であることを紹介しました。
大興電子通信では、上記に挙げたデジタル化をシステムソリューションとして提供していますので、DXを推進したい企業様はぜひ、大興電子通信にご相談ください。
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