製造業で儲かる会社は、正確に原価管理がされています。しかし重要性に気づいてはいるものの、儲かる仕組みやポイントがわからずその場しのぎで何とかしている会社が多いのが現状です。
今回は、原価管理のポイントと儲かる会社の仕組みについてご紹介します。
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ポイント:仕掛原価と予測原価の監視
原価管理では、仕掛原価と予測原価の把握が重要です。そのためには、
- 内訳が確認できること
- リアルタイム管理ができること
の2点がポイントになります。
内訳が確認できること
多品種少量のものづくりでは、製品ごと、原価要素ごと、製品構成ごとなど、内訳まで細かく確認できる原価管理が必要です。一つひとつ製造内容が異なるので、詳細な原価を見ないと、どこに原価の無駄があるのか把握することができないからです。しかし、Excelや紙では管理が複雑になるため、ほとんどの会社が実現できていません。
生産管理システムでは、受注生産における複雑な原価管理もスムーズにできます。また、すべての原価を自動算出できるのも生産管理システムのメリットです。発注入力や作業員の日報入力などの日常業務を行うだけで各原価が自動的に算出され、積み上げられていきます。
原価管理を格別意識しなくても、発注から作業の工数、経費といったデータをすべて自動で登録でき、製造にかかるトータルの原価と個別の原価を同時に出すことが可能です。
リアルタイム管理ができること
原価管理で重要なのは、現場でリアルタイムに原価がわかることです。製品ができあがってから原価オーバーがわかっても、もはや打つ手がなく、損失を受け入れるしかなくなってしまいます。
生産管理システムを導入し、原価がリアルタイムに見える化されていれば、製造の途中でも状況の変化に臨機応変に対応して、予算を超えないように調整することが可能です。
たとえば、製造途中で予算オーバーになりそうだとわかれば、外注を取りやめて自社製造に切り替えたり、アッセンブリ購入を見直して自社組み立てにしたりと方針転換できます。逆に、予算に余裕がありそうなら、作業を外注して工数を削減することも可能です。
ポイント:見積原価の精度向上
次に、重要になるのが見積原価の精度向上です。カタログ品と異なり、受注生産は製品価格の相場というものがありません。そのため、適正な販売価格を設定することが、会社の利益を大きく左右します。
しかし、正確な原価がわからないと上乗せすべき利益も算出できず、利益の出る見積もりを出すことができません。およその見積りで受注してしまい、結局利益を生まない仕事をしてしまったという事態を引き起こします。
見積原価の精度を上げるには、
- 過去の実績を積み上げておく仕組み
- 実績に基づくシミュレーションができる仕組みづくり
の2点がポイントになります
過去の実績を積み上げておく仕組み
過去に同じような製品やパーツを作ったことがあれば、過去の実績から適正見積を出すことができます。しかし、多くの会社はそもそも過去の実績をデータとして蓄積していないため参照のしようがなく、毎回一から設計が概算を出しているというケースがほとんどです。
生産管理システムを利用すれば、データされた過去の実績が自動的に積み上げられていくので、検索すれば誰でもすぐに過去の実績を確認することができます。見積原価と実際原価の差を比較することもできるので、次の見積原価の算出に利用し、これを繰り返してデータをアップデートすることで、最新の実際原価に近い精度の高い見積を出すことができるようになっていきます。
シミュレーションができる仕組みづくり
製品原価だけでなくパーツやユニットごとの原価も出しておくと、見積原価のシミュレーションも容易にできます。
新しい製品を作る場合でも、過去に似たような製品、同じ部品を使った実績を参照することができるので、設計部門が一から技術見積を出す必要がありません。
ある程度構成が決まっている製品の場合は、「仕様選択の見積もりシステム」を利用する方法もあります。予め設定された仕様項目にチェックを入れていくだけなので、設計部門を通さずに営業担当者が客先で見積を作成でき、提案型営業をしやすくなります。
原価の分析で適切な経営判断を実現
原価管理は、日々の経営判断にとっても非常に重要なファクターです。原価を管理しないと儲かる製品がわかりませんし、作業員の無駄や調達の無駄に気づけないので、利益向上に向けた施策を打つことができません。
原価管理は、
- 毎期ごとに予算実績の管理ができる
- 本当に儲かる製品を見極められる
という2点で経営判断に役立ちます。
毎期ごとに予算実績の管理ができる
製品ごとの詳細な原価が出せれば、毎期ごとのトータルの製造原価も正確に算出できるようになります。これにより、当期の利益目標を達成するために、残りの期間で利益率の高い製品を多く製造したり、製造サイクルを早めて納品数を増やしたりといった具体的な施策を実行することが可能です。
生産管理システムを導入すると、トータルの原価とともに、ドリルダウンで各製品・工程ごとの詳細も確認することができます。いわば“木も見て森も見る”ことができるので、本当の利益状況や本質的な問題点に気づけ、経営改革のポイントを見誤ることがありません。
本当に儲かる製品を見極められる
会社の利益を上げる方法は簡単です。儲からない製品を作ることを止め、儲かる製品を作ることに集中することです。しかし、儲かる製品を見極めるには原価管理が不可欠なため、原価管理ができずに利益率アップのチャンスを逃している会社は少なくありません。
生産管理システムで精度の高い原価管理ができれば、製品種別ごとの利益率を算出し比較することで、会社の利益に貢献している製品はどれなのかを知ることができます。原価を管理することで会社の強みが明確になり、利益率の高い製品を主力製品として打ち出す、広告費をかけて宣伝する、製品のラインアップを増やして収益を上げる、不得意な部分は外注を検討するなど、さまざまな施策が可能になります。
また、原価管理は、設備投資の無駄を防止することにもつながります。原価を正確に把握することで問題のある部門、業務を見つけ出し、コストをかけて改善すべきところが明確になります。これにより、見当違いの投資をするリスクを減らし、効果的な投資がピンポイントで行えるようになります。
原価管理は儲かる会社を作る重要な土台
会社の目指す先は、“いかに物をつくったか”ではなく、“いかに儲かったか”です。そのために原価管理は必要不可欠ですが、NONシステムでは難しいのが現実です。場当たり的な“どんぶり勘定”から脱却するために、いま一度、貴社の原価の管理方法について見直しをすることをおすすめします。
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