人事・給与

 

会社は給与明細を保管する必要がある?保管期限と保管方法を解説

給与明細

会社で従業員を雇用している場合、毎月必ず作成する給与明細。この給与明細は、従業員への交付後、いつまで会社で保管する必要があるのでしょうか?

今回は、給与明細の保管期間が分からず困っている方のために、給与明細の保管期間や保管方法について、詳しく解説します。
会社が給与明細を保管するときの注意点も紙とデータ双方のケースで解説するので、ぜひ参考にしてください。

給与明細の重要性

給与明細は、従業員が受け取る給与の詳細を記載した公式文書です。

具体的には、次のような項目の詳細が記載されています。

項目

具体例

勤務

・就業日数
・出勤日数
・労働時間
・欠勤日数
・休日欠勤日数
・有給消化日数
・平日普通残業
・平日深夜残業
・休日労働時間
・遅刻早退時間
・有給残日数

支給

・基本給
・役職手当
・資格手当
・家族手当
・通勤手当
・残業手当
・深夜勤務手当
・法定休日手当

控除

・雇用保険料
・社会保険料
・所得税
・住民税
・共済費

給与明細は、従業員にとって自分の給与が正確に計算されているか、労働に対する正当な報酬を受け取っているかを確認する重要な文書です。

そのため、従業員と雇用主の双方の信頼関係を築く上で、給与明細の適切な取り扱いが重要です。

給与明細の保管義務は会社にある?

結論から言うと、会社側で給与明細書を保管する必要はありません

実は法律では、一度発行した給与明細の保管は義務付けられていないため、給与明細発行後に破棄したとしても、法的な問題にはなりません。

しかし、“給与明細に関わる書類や情報”には保管義務があり、給与計算の根拠になる書類や給与明細の記載項目をまとめた書類は保管が必要です。

給与明細に関する書類の保管義務はある!保管期間別に紹介

保管義務のある給与明細に関する書類や情報とは、具体的にどういったものなのでしょうか。ここでは、事業主に保管が義務付けられている給与関連の書類を、保管期間別にご紹介します。

5年の保管が必要な書類

給与明細は保管する必要がある?保管期限と保管方法を解説

労働基準法第109条において、以下の書類は5年間の保管が義務付けられています

7年の保管が必要な書類

国税通則法(国税通則法第70条~第73条)において、以下の書類は 7年の保管が義務付けられています。そのため、「税関係の書類は 7年間保管」と覚えておくとよいでしょう。

給与明細を会社が保管しておくべき理由

これまで、給与明細に関連する書類のみ保管義務があり、給与明細自体には保管義務はないとお伝えしてきましたが、給与明細は保管しておいた方が後々便利でもあります。その理由を本章にて解説します。

従業員からの再発行依頼に対応可能

給与明細を残しておいた方がいい理由は、従業員からの急な再発行依頼にも対応するためです。従業員からは、以下のような理由で給与明細の再発行を依頼される場合があります。いざという時に迅速に渡せるよう、保管しておくのがおすすめです。

賃金支払の証拠として利用可能

給与明細は、「従業員に給与を支払った」証明になります。万が一、従業員から未払い賃金請求や、残業代のトラブルなどがあったとしても、証拠書類として給与明細を利用できます

なお、未払い賃金は、労働基準法によって過去5年間までさかのぼって請求できるため、5年間は保管しておけば安心でしょう。

給与明細の保管方法

給与明細を保管する場合は、保管方法に気をつけましょう。重要な個人情報になるので、いつでも確認ができて、紛失することがないように管理することが重要です。

給与明細書を保管する方法と保管時の注意点について、以下で確認しておきましょう。

紙交付の場合

①控えをファイルに保管する

紙で保管する場合は、ファイリング方法や管理方法に工夫が必要です。以下を参考にしてまとめてみてください。

  • 個人別かつ月単位でまとめる(従業員からの確認依頼に対応しやすい)
  • 直射日光や湿気を避けて保管(紙の劣化防止)
  • 鍵付きのロッカーに入れ、管理者を限定する(紛失対策)

②電子化する

電子化すれば保管のためのファイルや場所も必要ありません。紙の書類をスキャンして、画像やPDFとして保管しましょう。最初はスキャンの手間がかかりますが、検索性の高いファイル名で保管できれば、書類を探す手間は大幅に軽減されます。なお、スキャンをする際には解像度に注意しましょう。記載内容が認識できない解像度になっている可能性もあります。

給与明細の電子化については以下記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。

Web交付の場合

電子のデータで保管する

給与明細の電子化と同様に、従業員の同意が得られればWeb交付が可能です。電子データで保管するため保管場所を確保する必要がないです。

一方でセキュリティの心配があるため、情報漏洩対策としてアクセス権は管理者限定で設定し、記憶媒体はパスワードロックのかかるものを使用するとよいでしょう。

会社が給与明細を保管するときの注意点

会社が給与明細を保管するときには、紙とデータどちらで交付するかによって、管理方法が異なります。

給与明細を適切に保管するために、紙とデータ双方で交付する場合の注意点を確認しておきましょう。

紙交付の場合

紙交付の場合、従業員に渡すものと同じ「保管用」の文書を1部用意しておきましょう

従業員に給与明細を渡した事実や、内容を照らし合わせるときの証明として、保管用の文書が役に立ちます。

給与明細を保管する際には、従業員ごとにファイリングするだけでなく、年度や発行単位ごとにまとめておくと、後々必要な明細を探しやすいです。

従業員数が多いと保管する給与明細の数も膨大になるため、十分な保管スペースを用意する必要があります。

紛失防止にも注意する必要があるため、給与明細を紙交付する際は十分な対策が必要です。

Web交付の場合

Web交付の場合、紙交付で問題視される保管スペースや経年劣化などの課題が解消できます。

従業員に再交付を求められた場合も、データを検索し再発行するだけで対応できるため、業務負担を軽減できます。

なお、Web交付でも給与明細は賃金台帳と同じような重要書類であるため、労働基準法第109条で定められる次の保管要件を満たしておくと安心です。

  • 法令で定められた要件を具備し、かつそれを画面上に表示し印字することができること
  • 労働基準監督官の臨検時等、直ちに必要事項が明らかにされ、提出し得るシステムとなっていること
  • 誤って消去されないこと
  • 長期にわたって保存できること

引用元:労務関係の書類をパソコンで作成して保存したいのですが、可能でしょうか。|厚生労働省

また、Web交付の給与明細も紙交付の文書と同じように、紛失や情報漏洩に注意する必要があります。

システムのセキュリティ対策を徹底し、操作方法をマニュアル化して、給与明細の紛失や漏洩を防止しましょう。

膨大な量の給与明細と関連書類も、適切に保管しよう

ここまで給与明細の保管期限や保管方法について解説しました。

給与に関わる書類は、5年または7年の保管が必要で、給与明細書自体に保管義務はありませんが、発行後の従業員からの確認や再発行への対応がある可能性を考えると、給与明細書も保管しておくのが安心かもしれません。

また、給与明細だけでなく源泉徴収票や扶養控除等申告書など関連書類も一緒に、管理する方法を策定しましょう。

経年劣化や紛失、情報漏洩に注意して、給与明細を含む重要書類を適切に保管することが大切です。

ただし、給与明細に関する書類は、紙での管理は非常に大変です。従業員数が多くなればなるほど管理は大変になるため、保管の手間削減や計算ミスの軽減、オフィスの省スペース化につながる「Web給与明細サービス」の利用がおすすめです。


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