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給与計算のやり方を解説!ポイントを押さえ、正確に計算しよう

給与計算のやり方を解説!ポイントを押さえ、正確に計算しよう

企業にとって基本的であり、かつ正確性・信頼性がもとめられる「給与計算」。
この記事では、給与計算における押さえておくべき基本的なポイントと計算ステップを解説します。

給与計算の重要性と基本原則

給与計算では、従業員に支払う給与額(額面金額)を計算することを指し、総支給額から控除を引いて計算を行います。本章では、まず給与計算を行う重要性や基本原則を解説します。

給与計算の重要性

企業は、従業員に対して労働に対する対価として給与を支払うという労働契約を結んでいるため、給与を正確に・遅延なく支払うことは大変重要です。
もしも万が一、支給額の計算ミスや管理の不手際、支払いの遅延などをしてしまった場合、従業員から会社に対する信頼を失ってしまいかねません。加えて、誤った分の調整や修正にもお互いにとても手間がかかります。

また、給与計算には社会保険料や税金など控除する金額の計算も含まれるため、収める保険料・税金の額が不足していて催促通知や追加徴税をうけるようなことになれば、企業のコンプライアンスとしても大いに問題です

正しく給与計算をするために、まずは専門知識を身につけておきましょう。

賃金支払いの五原則

まず、必ず知っておかなければならないのは「賃金支払いの五原則」です。
労働基準法の第24条では、給与の支払い方法について定められており、ここに記載されている内容が通称「賃金支払いの五原則」と呼ばれているものです。

以下が、その五原則の内容です。

  1. 通貨払いの原則
    給与は、小切手や現物ではなく現金での支給、または従業員の承諾を得たうえで本人指定の金融機関に振り込みを行うこと。
    ※一部、例外もあります。詳細は下記の厚生労働省のHPをご覧ください。

  2. 直接払いの原則
    給与は、従業員本人に支払うこと。ただし、本人の同意があった場合のみ代理人への給与支払いも可能。

  3. 全額払いの原則
    給与は、全額払うこと。所得税・住民税・厚生年金・健康保険など、法律で定められた控除を差引いて支給することはできますが、「貸付金と相殺した金額を振り込む」などの行為は認められていません。

  4. 毎月1回以上払いの原則
    給与は、毎月1回以上支払うこと。
    月1回以上なので、例えば週給というかたちでの支払いは可能です。
    この原則により、年俸制をとっている会社でも分割して月1回以上の支払いになるよう対応することが求められます。また、ここでいう毎月1回以上の支払いに賞与などの臨時で支払われるものは対象外となる点に注意が必要です。

  5. 一定期日払いの原則
    給与は、一定期日に支払うこと。
    例えば、「毎月5日」「毎月25日」といった取り決めはこれにあたります。
    給与の支払日が休日にあたってしまう場合は支払日を繰上げまたは繰下げすることが可能です。

上記を満たさない場合、労働法基準法に違反することとなってしまいます。詳しくは下記をご参照ください。

厚生労働省:労働基準法第24条(賃金の支払)について

 

給与計算をはじめるまえに押さえるポイント

次に、給与計算を行ううえで事前に把握しておくべきポイントが大きくわけて3つあります。
それが、「法的要件の確認」「従業員情報の管理」「勤怠管理」です。
それぞれ以下で詳しく解説します。

法的要件の確認

給与計算では、上記のような労働基準法に加えて「税法」「社会保険法」など、各種法律に関する正しい知識が必要です。具体的には、労働時間の規制、税金の種類やルール、控除や税金の計算方法などが必要となります。

また、地域や業種によって一部給与についてのルールが異なる場合があるため注意が必要です。例えば、最低賃金などはわかりやすい例でしょう。全国各地に点在して複数拠点を持つような企業の場合、こうした要件にも充分注意しましょう。

従業員情報の管理

従業員それぞれに支払う給与額を決定するうえで、会社の給与テーブルは必須です
その従業員の人事評価と、自社で設けている評価・報酬制度を照らし合わせて正しい金額を支払えるようにしっかり情報を整理・管理しておくことが大切です。

勤怠管理

同様に、勤怠情報も給与を算出するうえで必要な情報です。
正確な勤怠管理ができるよう、こちらもシステムを利用するなどして事前に環境整備してくことが大切です。

給与計算の基本ステップ

給与計算は、総支給額から各種控除を引くことで計算することができます。本章では、計算方法について順を追って説明していきます。

■給与計算の仕組み
総支給額 ー 控除額 = 差引支給額(額面金額)

①事前準備

はじめに従業員の雇用形態・階級/役職などの基本情報や給与構成、勤務時間など給与計算に必要な情報を集めます
また、税金や社会保険などの法的要件については随時アップデートされる場合があるため最新情報を確認します。

②総支給額の計算

■基本給の計算
①の情報を踏まえて、基本給を計算します。
基本給は、手当やボーナス/インセンティブを含まないベースとなる賃金のことです。

■時間外労働時間の計算
その次に勤務時間外の労働時間を計算します。
残業には、法定時間内残業(法定労働時間範囲内の残業:原則1日8時間以内・1週40時間以内)と法定時間外残業(法定時間内残業を超過した残業)とで分かれ、法定時間外労働には割増賃金を支払う必要があります。算出方法が以下です。

割増賃金=時間外労働時間×1時間当たりの賃金×割増率
※割増率:通常25%、1か月60時間の労働を超えた場合は50%以上

割増率についての詳細は厚生労働省の情報をご参考ください。
https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1l-02.pdf

■各種手当の計算
基本給を算出したら、手当やボーナス/インセンティブを加算して総支給額を算出します。
会社によって内容や金額に差がありますが、手当については「通勤手当」「出張手当」「役職手当」「資格手当」などがございます。

③控除額の計算

次に、控除額の計算です。所得税、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)、介護保険料、雇用保険料、住民税など、各種控除すべき項目の金額を算出しましょう。
下記は各種の計算方法です。

・所得税(源泉徴収分)=給与(基本給+残業代など)-(社会保険料+雇用保険料)
・社会/介護保険料=標準月額報酬(4~6月の平均給与額※)× 各保険料率 ÷ 2
・雇用保険料=賃金 × 雇用保険料率
・住民税=納付書に記載の住民税額 ÷ 12

④差引総支給額(手取り額)の計算

最後に、これまでに算出した総支給額から控除額を差し引いたものが、実際に従業員の手元に支払われる金額、差引総支給額となります。

ここまでに算出した各種項目は、給与明細に記録して管理しておきます。
給与明細の作成方法については、こちらの記事で詳しく解説しておりますので参考にしてください。

給与関連業務の負担を軽減する方法

前述の通り、給与計算は正確性がとても大切な業務です
しかし一方で、計算のための専門知識が必要であったり計算方法が一部煩雑であったりするなど、手間がかかる業務でもあります。

特に、ハンコ・サインなどによる社内承認のための書類回覧や、情報を紙面で管理していることでおこる「すぐに参照したい情報が見つからない」など、給与計算やその他関連業務の情報管理に手間・工数を取られてしまっていることも少なくありません。そのため、給与関連の業務を正確に・効率的に行いたい場合、電子ツールを利用することがおすすめです

弊社では、総務・人事部門の方向けに業務負荷を軽減できるツール「i-Compass」をご用意しており、人事給与システムで計算した給与結果を簡単に従業員に公開することが可能です。
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寺本 仁
この記事を監修した人
会計・人事給与システムのソフト開発会社にてキャリアをスタート。
システム導入支援に従事後、営業部門に転じ、システム活用事例や課題解決事例に立脚した顧客提案を推進。
大興電子通信に入社後は、勤怠管理や連結会計、経理部門のDX化など、ERPソリューション全般に精通したスペシャリストとして活躍中。
大興電子通信株式会社
ビジネスクエスト本部
インダストリー推進部
業務ソリューション課
寺本 仁

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