労働基準法により、従来、労働契約を締結する際に義務付けられていた労働条件の書面交付について、2019年4⽉1⽇以降、労働者が希望した場合は電子交付が認められています。本記事では、雇用契約の電子化について、当社ソリューションの例示も交えご紹介します。
2019年4月の「労働基準法施行規則」改正施行の概要
雇用契約の電子交付については、2019年4月時点ですでに解禁されています。
参考:厚生労働省「労働契約締結時の労働条件の明示 ~労働基準法施行規則が改正されました~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/meiji/index.html
以下、ポイントと考えられる点を抜粋します。
電子交付時の留意点 | 必要と想定される対応 |
1.電子交付が認められるのは、労働者が希望した場合のみである | 労働者が電子交付を希望した旨を記録に残す |
2.電子で交付された内容を、印刷して確認できることが要件 | SMS(ショート・メッセージ・サービス)等による明示は禁止されていないものの、労働者の印刷確認の利便性などに照らすと、電子交付する内容はPDFなどのファイルにより送付する |
3.本当に到達したか、労働者に確認する必要がある | 労働者が閲覧したことを記録に残す |
上記2に関連し、電子交付の場合はPDFで構成されることが主に想定される「労働条件通知書」のひな形は、厚生労働省サイトで取得することができます。
参考:厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudoukijunkankei.html#h2_free2
なお、上記1に関連し、労働者が希望していないにもかかわらず、電子メール等のみで明示することは、労働基準関係法令の違反となり、最高で30万円以下の罰⾦となる場合があります。また、根本的な問題として、人手不足などの環境のもと、労働者に安心して自社に就業していただくために、労働契約の電子交付を確実に納得感がある形で行うためには、実績のある確かなシステムを使うことが望ましいといえるでしょう。
システムによる雇用契約電子化の例
ここからは、システムによる雇用契約の電子化について、当社ソリューション「i-Compass WEB雇用契約」の例を交えて説明します。
まず、上記で説明した通り、雇用契約の電子化でもっとも留意すべき点は「労働者が電子交付を希望した旨を記録に残す」ことです。
この点について、i-Compass WEB雇用契約では初回アカウント作成時に「雇用および入社後の給与明細などの全般についてシステムによる電子交付に同意する」ことをセットにしており、同意することではじめてアカウントが発行される仕組みとなっています。また、特に労働基準法第15条、労働準法施行規則第5条の規定により交付が義務付けられている「労働条件通知書(雇用契約書)」については、個別に電子交付についての同意を確認するようにしています。
なお、労働者に対し「電子交付への同意」を強制することは違法となりますので、電子交付であれば書面の紛失がなく、スマートフォンでも書面内容の確認が可能であるなど、電子交付のメリットについて十分に説明し、理解を得ることが前提となります。(同意されない方に備え、書面交付の受け皿を残しておくことは必要です)
つぎに、雇用契約については、そもそも「労働条件通知書」以外にも、さまざまな書類を採用予定の労働者に提出いただく必要があると想定されます。例えば、正社員採用時には、労働者側に一般的に以下のような書類の提出をお願いすることが想定されます。
- 入社承諾書・誓約書・身元保証書
- 雇用契約書への同意確認
- 基礎年金番号
- 雇用保険被保険者証
- 前職の源泉徴収票(中途採用の場合)
- 給与振込先口座
- 扶養控除申告書
- 健康保険被扶養者異動届
- 健康診断書
これらを書面で授受しようとすると、企業側は、入社予定者から書類が返ってこない、毎月対象者が多すぎて、各対象者の書類ごとの提出状況について把握・管理が困難といった問題が発生します。
一方の労働者側でも、書類が多すぎて記入に時間がかかる。記入を間違えた場合や、一部を紛失してしまった場合の、書面の再取得などの手間が発生します。
i-Compass WEB雇用契約では、PDFに加え、wordやexcel形式のファイルを授受することができ、書類ごとの授受の履歴も管理することができます。
企業さまごとのポリシーにもよりますが、i-Compass WEB雇用契約では授受の履歴がしっかりと残ったうえで電子的に保存されるので、各書類について、wordやexcel形式のファイル上に項目入力いただいたものをハンコレスで提出完了とみなす運用も可能です。
捺印を要件としたい場合は、労働者側でwordやexcel形式で作成したものをプリントアウトして捺印のうえ、それをPDFしたものをまずはi-Compass WEB雇用契約にアップしてもらい、入社後に書面を提出してもらうといった運用も考えられます。
i-Compass WEB雇用契約の詳細とメリットを動画でご覧いただけます
以上、本記事では雇用契約の電子化について、当社ソリューション「i-Compass WEB雇用契約」の例示を交え紹介しました。「i-Compass WEB雇用契約」は、790社 82万ID の導入実績のある「i-Compass WEB給与明細」のシリーズ製品です。
本記事でご説明した内容については、より詳細にわかりやすく説明した動画もご用意しておりますので、ぜひご覧ください!