給与明細は、どれだけ働き、どれだけの給料が振り込まれているかを確認する重要な書面です。記載されている内容は基本給だけでなく手当や保険料などの控除額も表示されていて、さまざまな情報を確認することができます。給与明細を電子化すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
給与明細を電子化することによるメリットとデメリット、注意点をご紹介します。
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給与明細の電子化とは
給与明細を配布する意味
給与明細は、毎月ほぼすべての会社が発行しています。実は、給与明細を会社が発行する義務はありません。しかし、法律によって、保険料などの控除額に関しては通知をする義務があり、このような理由により、給与明細は給与や控除額について計算した金額を社員に通知するために作られています。
社員が多くなれば給与明細の管理業務は膨大になります。これにより、担当者の工数が圧迫され、本来割くべき他の業務に集中できない懸念がありました。また、膨大な業務の中で紙を用いた業務の遂行は現実的ではありません。そこで注目されているのが、給与明細の電子交付です。
給与明細の電子化は、2006年の税制改正により、給与明細の電子交付が認められるようになりました。また、2022年には、給与明細の電子交付を義務化する法改正が国税庁より発表されており、近年、給与明細の発行を電子化する会社が増加しています。
電子化した給与明細の交付方法
国税庁によると、給与明細の電子交付方法として認められているのは以下の3つです。
1.従業員のメールアドレスに給与明細をPDFファイルで送付する方法
2.社内のインターネット等やセキュアなクラウド環境を利用して閲覧する方法
3.CD-ROM等の磁気媒体等に記録して交付する方法
一般的には、電子メールで送付する方法とクラウド上で交付する方法が多くなっています。
給与明細の電子化で実現できること
給与明細の電子化は、従業員がいつでもどこでも給与明細を確認できる、紙の使用量を削減できる、コストを削減できる、業務効率化につながるなどのメリットがあります。また、電子化によるペーパーレス化や勤怠管理との連携によって円滑な管理が可能になることも挙げられるでしょう。
では、具体的に給与明細を電子化することによるメリットやデメリットはどのようなことがあるのでしょうか。次章からは、メリットとデメリットを会社や従業員の立場から解説していきます。
【会社側】給与明細を電子化するメリット
会社側のメリットは管理の面でいくつかあります。
コスト削減につながる
大きなメリットの1つは、給与明細のコスト削減です。社員が100名いたら、100枚の給与明細を毎月発行しなければいけませんが、システムを導入することで経費を削減できます。また、業務工数という意味でも、印刷の手間や、従業員への配布手続き工数が削減されます。
管理の簡易化により業務効率が上がる
給与明細を電子化すると、必要な情報を探し出すのが紙の場合に比べて容易になります。情報処理速度が上がるため、効率化を実現できます。
システムで管理すると税率が変動した場合も自動で反映されるため、手動計算での打ち間違いや数式ミスが減り、数字を打ち込むだけで簡単に給与計算ができます。
関連書類の保管が楽になる
給与明細の電子化により、源泉徴収簿やその他の保管が必要な書類を電子データで保管できます。これにより、紙の場合に気を付けなければならなかった保管場所や管理の手間を削減できるほか、誤廃棄や紛失のリスクを低減し、検索や参照を容易にすることができます。
【受取側】給与明細を電子化するメリット
給与明細を電子化するメリットは受取側にも管理の面でいくつかあります。本章では、3つのメリットを受取側の立場でご紹介します。
いつでも明細を確認できる
紙での管理ではなく電子で給与明細を交付した場合、従業員はスマートフォンなどでいつでもどこでも確認ができます。
管理が楽になる
給与明細を電子化している場合は、いつでも必要なときに過去の明細確認ができ、管理が楽になります。そのため、例えば過去の情報を参照しなければならない確定申告の際に役立ちます。
リスクの軽減
紙の給与明細を自分で管理する場合は紛失してしまうことがあります。個人情報を記載しているので紛失すると悪用される恐れがありますが、データ管理であれば紛失することがないので安心です。
次章では、給与明細を電子化するデメリットをご紹介します。
【会社側】給与明細を電子化するデメリット
給与明細のシステム導入を考える場合、これまでと比較した運用のデメリットも把握しておく必要があります。扱うのは従業員の個人情報なので、個人情報保護の面から慎重になると思います。
本章では、会社側の立場から給与明細を電子化するデメリットをご紹介します。
情報漏えいの危険性
電子上で給与明細を管理するということは、第三者に漏洩してしまう危険性も考えられます。そのために定期的なパスワードの変更や対応ソフトの導入など、最新のセキュリティ対策を実施する必要があります。
既存の方法を変える必要があり対応が大変になる
メール、もしくはクラウドで管理するときに、どのようなソフト・サービスを選択するのかで運用方法が変わります。使い方や管理方法が複雑になったり、毎月パスワードの変更が必要になったりする場合もあります。
またPC操作が苦手な社員に対しても確実に利用可能な状態にする必要も出てくるでしょう。
さらに重要なこととして、書面管理からデータ管理へ移行する場合には従業員の許可が必要になります。許可を得られない場合や、今まで同様、書面でも欲しいと言われる場合には、印刷した給与明細を用意しなければいけません。そのため、電子上での確認と書面での確認の両方を満たす必要があります。
このように、紙での運用方法から電子化への切り替わり時期には対応に追われる可能性があることを認識しておきましょう。
【受取側】給与明細を電子化するデメリット
給与明細を電子化するデメリットは会社のみならず、受取側にもあります。下記の2点がデメリットとして挙げられます。
申請を行わないと印刷された給与明細が手に入らない
給与明細は紙で管理したいという人は必ずいます。今まで申請しなくても紙で受け取っていたのに、毎回申請する必要が出てくると面倒に感じてしまうでしょう。会社も紙の明細が必要な人を把握して管理することは非常に大変です。
自分の都合で破棄できない
紙の給与明細の場合、個人の意思で破棄することができました。システムやクラウド上で管理するということは、自分の意図でデータの破棄ができません。個人情報の管理がすべて会社任せになってしまいます。
給与明細を電子化する際の注意点
従業員からの同意の取得が必要になる
給与明細の電子交付時には、所得税法で従業員からの同意が必要とされています。同意は証拠として残るものでなくてはならないため、同意書を作成する必要があります。従業員からの同意がなければ紙での交付を行わなければなりません。
そのため、従業員からの同意を得るプロセスを考慮したうえで最適なスケジュールを組むとよいでしょう。
既存の給与計算システムと相性がよいかを確認する
給与明細を発行する際、従業員それぞれの明細を入力していては骨の折れる作業となってしまいます。そこで、給与明細の電子化を検討する際は、現在業務で用いている給与計算システムやソフトとの互換性を確認し、業務効率化を進めていきましょう。
i-Compass|WEB給与明細 製品ページ:https://www.daikodenshi.jp/solution/i-compass/payment_slip/
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給与明細は発行されたものを手渡した場合も、電子化してシステムやクラウド上で管理した場合も、メリットとデメリットは必ず存在します。管理する側と、受け取る側の両方を考えて、どのようなシステム導入が良いのかを考えましょう。
大事なのは従業員の大事な情報をどのように扱うかということです。多くの社員にとって便利であり、安心して任せられるような管理体制が会社には求められます。
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