企業活動においてはさまざまな管理が必要となりますが、製造業において重要な管理のひとつが「MRP」です。MRPは部品表をベースにした資材の管理手法であり、システムで管理することで企業の生産性を向上させることができます。
今回はMRPの概要や導入メリット、現在はより便利なシステムだとされている「ERP」についてご紹介します。
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製造業に欠かせない「MRP」
MRPはMaterial Requirement Planningの略で、日本語では「資材所要量計画」と訳されます。つまり、製品を製造するにあたりどのような資材がどれくらい必要なのかを後の工程に要求するための管理であり、通常、システムによって管理されます。
MRPは1970年代に登場した管理手法であり、在庫を過不足なく管理することなどを目的に導入されてきました。製造業において、適切な在庫を持つことは非常に重要です。在庫が少なすぎると納期に間に合わず受注先の増加も難しくなってしまいますが、反対に在庫が多すぎても管理コストが増してキャッシュフローが停滞します。MRPを導入することで、各製品の製造に必要な部品を記した部品表をベースに必要な部品数やリードタイムを算出し、生産管理に活かして在庫を適量に保てるようになります。
また、MRPの管理範囲だけでなく、生産に関わるすべての要素(ヒト、カネ、モノ)を包括的に管理するのがMRP2です。MRP2ではより複雑な管理となりますが、部品だけでなく生産に必要な人員についても最適な運用を可能とします。

MRPの5つの導入メリット
MRPのシステムを導入することで、以下の5つのメリットがあります。
1.在庫・仕掛品在庫の適正管理
MRPの大きなメリットとして挙げられるのが、上記にもご紹介した在庫の適正管理です。急な受注増加や安定的な納品が可能な在庫数を保持しつつ、過剰な在庫を抱えないよう発注管理や生産管理をコントロールできれば、在庫の管理コストを増やさずに収益の増加を狙うことができます。
2.生産性の向上
MRPにより資材を上手く管理できれば、生産の無駄を削減できるため、生産性の向上につながります。管理や生産に携わる一人ひとりの作業効率が上がれば、同じ工数でもより多くの生産が可能になり、さらなる成長のための投資に当てることも可能です。
3.コストダウン
仕掛品を減らし、最低限の人数で必要な製品数を製造できるようになるため、コストダウンも見込めます。コストが浮けばその分の資金を設備投資や従業員への還元に使用することができるため、企業の成長のためにも安定的なコストダウンは重要です。
4.生産内容変更への素早い対応
部品表をベースに必要な資材やその製造プロセスを設計するMRPは、生産内容の変更に素早く対応できるという特徴があります。通常はシステム上で管理されるため、部品表を更新すればMRPにも反映され、生産過程へ素早く適用することが可能です。
5.顧客対応品質の向上
MRPにより在庫を適切に管理できるようになるため、納期遅れなどを防止し、顧客対応の品質を上げることができます。他にも、適切な在庫管理により顧客の要望に合わせた提案が柔軟にできるようになったり、個別の仕様を受注できるようになったりと、顧客に喜ばれるようなサービスを展開できるようになります。
MRPからERPへ
製造業では重要なMRPですが、営業活動においては在庫管理の他にも受注管理や発注管理、生産管理、請求管理、顧客管理などさまざまな管理が必要です。従来はそれぞれ独立して管理する必要があり、情報の共有や経営上の意思決定に課題がありましたが、このような課題を解決するために登場したのが「ERP(Enterprise Resource Planning)」です。EPRは「統合基幹業務システム」などと訳され、MRPなどの基幹システムを一元管理することができます。
在庫や生産状況、現状の売上、顧客の情報などは重要な経営資源であり、経営陣が意思決定する際に必要となるものです。ERPであればこれらの経営資源をリアルタイムで取得できるので、素早い経営判断につながり、時期を逃さずに企業の成長につなげることができます。
部品表をベースにした「rBOM」
大興電子通信では、ERPとしての役割を持つシステム「rBOM」を提供しています。rBOMはBOM(部品表)を中心に設計した管理システムで、一元管理することでどの部門からも常に同じ情報を参照することが可能です。
部品表をベースにしているため、部品表を更新することで発注管理や生産管理などすべての情報を一度に更新することができ、管理の手間を大幅に省きつつ素早い業務フローを構築できます。rBOMは特に多品種少量生産や個別受注生産に向いており、追加受注や受注内容の変更があった場合にも素早い対応が可能です。
自社に適したシステムの導入を
このように、MRPは製造業に欠かせない管理手法として多くの企業から採用され、その他の管理も一括して行うERPへと進化してきました。ERPシステムにもさまざまな製品があるため、自社の商品や業務フローに適したシステムを選び、導入することが大切です。
BOMの統合により情報共有をシームレス化。
リアルタイムな進捗・原価把握を実現する生産管理システム「rBOM」については、下記よりご覧いただけます。