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「予算編成業務」とは
経営者(社長)が1名と従業員が5名、全社員数が6名の企業を想像してみてください。そして、この小さな会社で予算計画・予算編成を行う場合に、極端なやり方として次の2つの方法を思い浮かべてみてください。
- 経営者が完全なワンマン経営で、自分で決めた「割付予算」を従業員と業務に設定し、業務遂行させる。
- 従業員が各自の予算計画を立て、その「積上予算」を基に経営者がそれを何も考えずに会社の予算計画とする。
この2つのやり方を社員数が100名や1000名を超える企業の場合に当てはめた場合にどうでしょうか?このやり方ではうまくいかなくなることは容易に想像できます。
通常の企業では、トップダウンの「割付予算(演繹予算)」と、ボトムアップの「積上予算(帰納予算)」をぶつけ合い、ダイナミックに予算編成を行うのが普通です。従業員数や部門数、製品・サービス数が多い企業ほど、部門構成や製品構成別の予算編成業務が、煩雑で過酷な作業になりがちです。
予算計画を入力し、調整し、予算編成を遂行できる良いソフトウェアというのはあまりありません。そのため、多くの企業においては、予算編成業務にExcelを使用することが多く、この業務の過酷さを増大させている要因となっています。
経営層が経営目標・経営戦略を基にした「割付予算」を設定するためには、前年度や前々年度の実績金額、その年の計画との差異などを分析し、将来に向けてどの部門、どの製品・サービスにどれだけの企業エネルギーを注入すべきかを判断する必要があります。
そのために行うフローとして、まず「割付予算」を各拠点にExcelファイルをメールで配布し、各拠点で入力された調整金額をメールで収集します。そして、「積上予算」をExcelで集計し、予算編成を行うという工程を経て、年間の企業の予算計画を設定するのが一般的です。しかし、関わる人数や部門が多い分負担も増えるため、考えただけで多大な労力と手間のかかる業務です。
ここでは、この煩雑で過酷な作業を効率化し、担当者の作業時間と負荷の低減に成功した事例をご紹介します。企業の予算編成という企業エネルギーの源となる業務を刷新し、組織イノベーションにつなげた製造業K社の事例をご覧ください。
「予算編成業務」の課題 ~製造業K社の場合~
製造業K社は、住宅用建材、プラスチック製品、環境・ライフライン製品を主要な製品として製造・販売しているメーカーです。従業員数は21,000名、日本全国に分散した事業部門の数は120事業部門に及ぶ大企業です。
会計年度は1月~12月までの1年間。年間の当初予算計画は12月に設定をするために、下記の一連の業務遂行を行います。
- 会計システムCSVファイルから連携しての年度実績・見込の集計
- 「割付予算」設定と各部門にExcelファイルを配布
- 各部門からの「積上予算」のExcelファイルを集約・集計
- 経営層との予算計画金額の調整と予算承認
- 承認された予算金額の各拠点への通知
この業務を当初予算計画の設定するまでの10月~12月の間に行っています。また、中期見直し予算を5月~6月に編成・設定しており、この業務も当初予算編成業務と同等のボリューム、時間のかかる作業となっています。
この業務を担当しているのは東京本社であり、経理部8名と経営企画部2名がExcelと格闘して行っている業務でした。当初予算編成の10月~12月と、中期見直し予算編成の5月~6月は、担当の10名はこの業務にかかりきりとなり、他の業務ができない状況が続いてしまっていました。
また、使用しているExcelシートには、この企業独自の部門別や製品別の予算金額計算のための数式・関数が埋め込まれていて、予算編成Excel業務自体を他のアプリケーションに置き換えることを困難にしていました。
この状況を改善しようと、過去に情報システム部門からITベンダーに見積をとったことがありましたが、そのシステム開発費用は1億円を超えていたために諦めた経緯があります。
毎年10月や5月が来ると、「またこの時期が来たか・・・この業務負荷はどうにかならないのか?」という経理部と経営企画部の方々のため息が聞こえてきました。
Excel業務改善ソリューション導入後の「予算編成業務」
K社に転機が訪れたのは、ある年の夏でした。情報システムのインフラ導入を担当しているITベンダーが、Excel業務改善ソリューションをK社に紹介したことが契機となりました。
このExcel業務改善ソリューションは、K社の予算編成業務刷新のための、以下の条件を満たすものでした。
- 現状のExcel業務とExcel数式・関数を活かしたシステム開発が可能なこと
- 全国120事業部門とのExcelファイルのやり取りが可能なこと
- 分散した拠点を統制できるWEBアプリであること
- DBに格納されている実績金額を連携できること
ソリューション担当のエンジニアを入れての導入検討会議を重ねた後に、K社はこのソリューションを導入することに決定しました。
10月の当初予算編成業務開始に合わせるため、ソリューションの導入と業務アプリ開発を8月~9月の2か月間に設定しました。
ユーザー要件、システム要件を基に、予算編成業務に関わる要素、手順が次々と組み込まれていきました。
- 各部門はその中に2階層の「積上」レベルを設定し、2段階に積上計算する
- 約300名のユーザー情報はExcelシートに入力し、ユーザーアカウント管理DBにインポートする
- 各部門担当者、予算閲覧者、予算編成者、システム管理者などを権限設定し、メニューアクセス制御、ファイルアクセス制御、実行制御を管理する
- 実績金額は会計システムのOracle DBに直接接続して取得する
- 大量レコードの処理をソリューション独自エンジンで行い、集約・集計までの高速化と待ち時間のストレス解消を行う
- WEBページには業務ガイダンスを掲載できるので、的確なメッセージにより予算業務全体をナビゲートし、組織のモチベーションを高める
Excel業務改善ソリューションによるK社「予算編成業務」が刷新、リリースされたのは、この年の10月でした。
予算編成業務の時間短縮に加え、経理部8名、経営企画部2名で実施していた作業負荷の軽減は、ストレス(個人の作業負荷)をストレッチ(個人の熱意高揚と他者への信頼)に変える組織イノベーションをもたらしました。
そして、話は中期見直し予算の時期となった翌年の5月につながります。
このExcel業務改善ソリューションには、プログラム(VBAマクロなど)によらず、開発者用設定画面とExcelシートの設定(制御シート)により業務プロセスを組み直したり、帳票レイアウトの変更に対応したりする機能が含まれています。
K社経理部のN氏は、既に稼働中の「予算編成業務」の定義を参考に、マニュアルを参照しながら、5月~6月の中期見直し予算編成に関して、自分自身で業務定義構築を行いITベンダーへ開発委託することなく業務の効率化を図ることができました。
“Excelの利便性を活かし、Excelをもっと便利に安全に”
Excelはどの業種や職種でも使われる一般的なアプリケーションです。しかし、会社の規模が大きくなるほどにExcelだけに頼った運用には限界があり、業務負荷がかかってしまいます。
Excelの利便性をもっと活用して業務効率化を進めることが従業員の負荷も軽減し、働き方改革の実現にも結びつきます。
Excel業務にお困りの方は、Excel業務改善ソリューションの導入を検討してみてはいかがでしょうか。詳しくは下記のページをご覧ください。
“Excelの利便性を活かし、Excelをもっと便利に安全に”
Excel業務改善ソリューション『xoBlos(ゾブロス)』
https://www.daikodenshi.jp/solution/xoblos/
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