生産管理

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高利益率を目指す!多品種少量生産における3つの注意点と対策

多品種少量生産

多品種少量生産では、消費者のニーズに応えて臨機応変に生産品目を変更することができる一方、コストの増加や生産効率の低下に注意する必要があります。今回は多品種少量生産における課題を取り上げ、どのような対策が可能かについてご紹介します。

コストがかかる

多品種少量生産では商品開発や生産の段取り替えなどが都度発生するため、コストの増加に注意が必要です。

課題

多品種少量生産では、生産する製品を変更する際の段取り替えが増加し、生産ラインが稼働していない時間が長くなります。そのため、在庫を作らない受注生産のみで工場を稼働させると十分な生産数を確保することができず、コストを回収できない可能性が高くなります。また、在庫を持つことで安定した生産数を確保したとしても、品種が増えるごとに管理コストも増大するため、十分な利益率を維持するのは困難です。

対策

可能な限りコストを抑えるには、受注生産か在庫を持つかの判断を製品ごとに判断する方法があります。そのためには、「受注頻度の多さ」「ロットサイズの大小」の2軸で製品を分割したうえで、「少頻度・大ロット」「少頻度・小ロット」「多頻度・大ロット」「多頻度・小ロット」の4つに分類します。

受注頻度が少なくロットサイズが大きい「少頻度・大ロット」では、頻度が少ないため段取り替えの回数が少なくて済み、1回の受注で生産数を稼げるため、生産効率も確保することが可能です。そのため、受注生産が適しています。
「少頻度・小ロット」では安定した生産効率を維持することは難しいですが、頻度が少ないため、同様に受注生産できないかを検討します。

「多頻度・大ロット」では、1回の生産数が多くなるため受注生産でも黒字化が可能ですが、多頻度であることから工場全体では非効率となります。もうひとつ生産ラインを確保できる余裕があれば、専用ラインを設けることで段取り替えによる生産効率の低下の防止が可能です。専用ラインが困難であれば、在庫を持つことで生産効率を維持しつつ高い売上を確保することができます。

「多頻度・小ロット」では段取り替えの回数も多ければ生産数も確保できないため、在庫を持って段取り替えの回数を削減する対応が適しています。

段取り替えが多くなる

多品種少量生産

多品種少量生産では、生産が停止する段取り替えの回数が増加することも大きな課題です。

課題

在庫を持つ、専用ラインを作るなどの対策で段取り替えの回数を削減することは可能ですが、多品種少量生産では段取り替えの時間を短縮することも必要です。段取り替えにはプレス機やドリルなどの取り替え、精密切削加工機などの整備、組立部品の切り替え、掃除や次の作業内容の確認など多くの作業があり、効率良く回せなければ多大なロスとなります。

また、段取り替えを行う作業員によって作業時間が異なる場合にもロスが発生するため、誰でも同じ時間で完了できるよう作業内容の標準化を整備しておくことも重要です。

対策

段取り替えの時間を短縮するには、生産ラインを停止して行う内段取りと生産ラインを停止せずに行う外段取りに分け、各作業を改善します。改善の結果、製品ひとつ分の所要時間を指すタクトタイム内に全ての段取り替えを完了させることが理想です。

内段取りはラインを停止させてしまうため、一部の作業の外段取り化を実施します。具体的には、内段取りの作業を洗い出し、生産ラインが稼働している間に完了できる作業を外段取りに変更します。また、いくつかの作業をまとめて行えるようにするカセット化、ボルトの取り外し・取りつけを減らすボルトゼロ化も有効な手法です。

外段取りでは、準備品置き場の見直しや特定の部品の専用台車化、手順の見直しと標準化などを行って効率化を目指します。

純原価の把握が難しい

多品種少量生産では、実際にかかった全費用である実原価を正確に把握することが重要ですが、その製品を作るために本来必要である純原価を把握することも重要です。しかし、純原価の正確な把握には多くの課題があります。

課題

ここでは、当社のお客さま、A社のケースを例に挙げ、純原価の把握における課題をご紹介します。

生産管理システム導入事例ページ:https://www.daikodenshi.jp/solution/rbom/rbom-case/

すでに仕様が確定した製品では材料を把握できているため、実原価以上の費用はかからないと見込まれますが、試作品の作成や仕様変更の際には未使用の材料が出てきます。多品種少量生産ではこのようなケースが多いため、本来の原価である純原価が曖昧になる可能性があります。A社の例では、純原価が不明瞭になることが多く、正確な利益率を確認することが困難だったと言います。

また、発注管理や情報共有が煩雑になっていることで純原価を把握することができず、経営判断が後手に回ることも考えられます。

対策

A社の例では、生産管理システムを導入することで上記の課題を解決しています。生産管理システムでは過去の発注内容や使用した材料、余った材料なども素早く正確に把握することができるため、純原価の計算が容易です。また、実原価の計算や実原価と純原価の差、各製品ごとの状況を素早く把握することも可能ですので、原価額の見直しや適正な販売価格の設定、生産ラインにおける課題の洗い出しなどの精度も向上します。

仕様変更などによる純原価の変動の多い多品種少量生産でも、生産管理システムを使用することで変動内容を正確に記録して各部門へ素早く共有できるようになるため、原価や納期への影響を最小限に抑えることが可能です。

効率化を進めることで利益率を向上させる

多品種少量生産ではコストがかさむ傾向にあります。併せて段取り替えの多さによる生産効率の低下にも注意する必要があります。このような課題は、今回ご紹介した対策方法にて解決することが可能です。特に生産管理システムの導入は、情報の一元管理や情報共有のリアルタイム化、作業内容の標準化により大きな効果をもたらします。自社の課題を洗い出しつつ、ぜひ生産管理システムの導入をご検討ください。

また、本記事に関連して、製造業の生産性が下がる5つの原因と5つの効率化ポイントもご紹介していますので、是非ご覧ください。

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田幸 義則
この記事を監修した人
入社後15年間、長野支店にてシステムエンジニアとして活動。
運送業、倉庫業のお客さまを中心に担当し、業務システム構築からインフラ環境構築等の経験を積む。
その後、製造業のお客さまも担当し、rBOM導入のプロジェクトにも関わるように。
16年目に現部門に異動し、rBOM全国支援の担当者となる。
現在はrBOMだけではなく、製造業全般のソリューション提案を手掛けている。
料理が趣味、これからお菓子作りにも挑戦しようか迷っている。
大興電子通信株式会社
ビジネスクエスト本部
インダストリー推進部
田幸 義則
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