増益を目指すには、商品の売上を伸ばすことと原価を削減することの2つのアプローチがあります。製造業では材料費が原価の多くを占めるため、原価を削減して製造原価率を下げることが特に重要です。
今回は、製造原価率を正確に把握する重要性や業界の水準、原価率における課題とその改善策についてご紹介します。
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製造原価率の把握は利益の確保につながる
製造原価率を下げるには、現在の製造原価率を正確に把握することが重要です。併せて、製造原価にはどの要素が含まれているかを把握し、どの要素に改善の余地があるかを分析することも重要です。
原価率は、「原価÷販売価格×100」の計算式で求めます。原価率が100%未満であれば黒字であり、さらなる増益を目指す場合は原価率の削減を目指します。販売価格を上げることでも原価率は上がりますが、原価削減の検討が優先です。
原価を分析する際は、原価をさらに材料費、労務費、経費の3つに分割します。
- 材料費には製品を構成する材料や燃料など
- 労務費には従業員の給料やその他人件費など
- 経費には工場や機材のレンタル料や減価償却費など
が該当します。
内訳ごとに原価を正確に記録し、改善点がないか常に管理することで増益につながります。
製造業の業界平均
製造原価率を改善するにはあくまで自社の数字を分析し、課題を解決することが大切ですが、業界の平均を把握することも有効です。
2014年の統計データでは、建設業の原価率が87.67%、金属製品製造業が79.36%、紙加工品製造業が78.85%となっています。
製造業では、原価のうち材料費が他業種と比較して多額となる傾向にあり、多くのケースで40~60%程度を占めます。また、機材への初期投資や工場の運用費などがかさむことも多く、減価償却費などにより経費を削減しにくい特徴もあります。
製造原価を削減する取り組み
製造原価を削減するためには、現状の製造原価を把握し課題を分析することが重要です。ここでは、よくみられる課題とその改善策についてご紹介します。
材料費を削減する
原価の40~60%程度を材料費が占める製造業では、材料費に課題が発生していることが多々あります。その中でも、下記のような2つのケースが考えられます。
- 材料費の見直しを行っておらず必要以上の費用を計上している
- 現場の作業に問題があり許容量以上のロスが発生しているという
材料の見直しを行っていない場合は、定期的な見直しを実施し、常に材料費を最適化できる体制を整えます。まず検討できる点は、
- 他に安価で購入可能な仕入先はないか
- もっと安価な材料に変更できないか
の2点です。
現在の材料に決まったときには最安価だったとしても、改めて見積ることで仕入れ費用を削減することができる可能性があります。他には、材料の仕様や加工方法を変更できないかも検討対象となります。小さい材料に替える、数を少なくする、素材を変更する、より効率の良い加工方法に変更する、加工する範囲を小さくするなどが可能であれば、材料費の削減につながります。
許容量以上のロスが発生しないためには、ロス管理を行います。ロス管理は、最低限必要な材料だけを使った場合の理想的な量と実際の使用量の差分を算出し、多ければ製品や生産ラインごとに改善を行うものです。理想的な量を求める際は欠品を考慮せず、実際の使用量は1ヶ月単位で計算するのが一般的です。許容量以上のロスが発生した製品については、具体的にどの工程でロスが発生しているのかを特定し、個々の状況に合わせた改善を行います。
製造工程のムダを削減する
製造工程に多くのムダが存在することも、製造原価率が高い原因として挙げることができます。例えば、各工程の進捗に差があるために生産ラインの一部が滞り、仕掛品の数が増大する、後工程が手待ち状態になるなどのムダが考えられます。
製造工程のムダを特定するには、正確な原価計算を行う必要があります。最終的な原価だけではなく、労務費はどの程度かかっているのか、どの工程でどの程度の工数がかかっているのか、仕掛品はどの程度発生しているかなどを分析することで、改善すべきムダを特定することが可能です。
ある工程にムダがあり仕掛品や手待ち状態の増加につながっている場合、作業量や作業人数の調整、トラブル対処の最適化でスムーズな生産ラインに修正することが可能です。
特にトラブル対処は、不良品や事務処理のミスがあるたびに対処するのではなく、同じトラブルが2回以上発生しないよう改善を行うことが重要です。現場によっては、トラブル対処を行うことが日常業務となり、トラブルが少ない日は手待ち状態が増加するというムダが発生しています。従業員にヒアリングを行うなどして改善すべきポイントを見直し、トラブルの少ない生産ラインを実現することが重要です。
生産管理システムを導入し、各工程の状況を可視化することも有効な改善策のひとつです。生産管理システムでは部品表や設計図、製造工程などを分かりやすく可視化し、全ての部門で情報をリアルタイム共有することが可能です。これにより、スケジューラーや在庫年齢表などの可視化による迅速なリスク対応、新たな設計を行う際の製造部門への影響の正確な判断、他部門の状況を把握することによる無理のない製造フローの最適化などが可能となります。
製造原価を削減して原価率を下げよう
製造業で増益を目指すには、製造原価を正確に把握し、改善点を分析して原価率を削減することが重要です。製造原価の把握や改善点の洗い出しには生産管理システムの導入がおすすめです。自社にはどのような課題があるかを分析したうえで、検討してみては如何でしょうか。
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