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脱炭素経営はサプライチェーン全体で!メリットや取り組み例などをご紹介

脱炭素経営はサプライチェーン全体で!メリットや取り組み例などをご紹介

2020年に政府から「カーボンニュートラル」が宣言され、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする脱炭素への取り組みが活発化しています。

本記事では、企業において脱炭素経営が求められている理由や脱炭素を進めるうえで知っておきたい考え方など、実際の取り組み例も含めて解説します。

脱炭素経営とは?

脱炭素経営とは、脱炭素の考え方を企業の考え方や目標に反映させ、環境に配慮した経営を行うことです。本章では、国際的に脱炭素経営が求められている理由や脱炭素に関する国際目標について解説します。

なぜ脱炭素経営が求められているのか

2016年に発効されたパリ協定では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という世界共通目標が掲げられました。そのために温室効果ガス排出量をできる限り早くピークアウト※1させる必要性が叫ばれています。

※1ピークアウト:頂点に達しそれ以上は上がらないこと。同時にそこから先は下落や衰退に転じること。

温室効果ガスの主要排出国の一つである日本でも、社会的責任として率先して脱炭素化に向けた取り組みを進める必要があり、2050年までに温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を達成すると宣言しています。日本では、二酸化炭素の排出の78%が企業や公共事業を発生源としており、カーボンニュートラルの実現には政府や自治体だけでなく企業の協力が必要不可欠です。

脱炭素に関する中長期的な国際目標

中長期的に排出量削減を行うための経営戦略や目標の設定方法について、国際的な目標・指標が提示されています。以下では、その目標・指標について解説します。

TCFD
TCFDはTask Force on Climate-related Financial Disclosuresを略したもので、気候関連財務情報開示タスクフォースと呼ばれています。

TCFDでは、気候変動が企業経営にもたらすリスクや機会を、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目に分類し、これらの情報開示を企業に対して推奨しています。賛同することで気候変動を踏まえた自社の戦略やビジネスモデルを策定しやすくなり、投資家へのアピールになります。

SBT
SBTはScience Based Targetsの略称で、パリ協定が求める⽔準と整合した、企業が設定する温室効果ガス排出削減⽬標のことを指します。

SBTには、通常と中小企業向け2種類の目標設定アプローチがあり、認定を受けることで企業の信頼性が向上し、目標を達成することで環境への貢献と燃料調達コストの削減にも期待できます。

RE100
Renewable Energy 100%を略したRE100は、企業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄うことを⽬指す国際的な取り組みのことです。

RE100には自社で再生可能エネルギーの発電をする方法と、再生可能エネルギーで発電された電力を発電事業者から購入する方法の2種類があります。⽇本独⾃の取り組みとして「再エネ100宣⾔ RE Action」という取り組みもあります。また、近年ではコーポレートPPAという再エネ調達スキームがあり、RE100基準の電力供給が可能なことから世界的に注目が集まっています。

本章では、気候変動に対する国際的な目標・指標を説明しました。次章では、サプライチェーンでの脱炭素化に焦点を当ててご紹介していきます。

サプライチェーンにおける脱炭素化の取り組み

脱炭素化は企業単体ではなく、サプライチェーンも巻き込んで取り組んでいくことが重要です。本章では、サプライチェーン全体での脱炭素化を進める際に重視したい考え方についてご紹介します。

脱炭素を進めるうえで知っておきたい「Scope」の考え方

サプライチェーンを含んだ脱炭素化を進めていくためには、「Scope」の考え方が重要です。Scopeとは原材料調達・製造・物流・販売・廃棄など、一連の流れから発生する温室効果ガス排出量を上流・自社・下流、また直接排出か間接排出かによって分類することです。

具体的には以下のような分類をします。

  • Scope1:事業者⾃らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、⼯業プロセス)
  • Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気を、自社で使⽤した際に伴う間接排出
  • Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

Scope3は上流における原材料の調達や輸送・配送、下流における製品の使用や製品の廃棄などが該当します。このScopeの考え方によって、自社だけではなく上流・下流といった他社の温室効果ガス排出量を把握できるため、サプライチェーン全体での脱炭素経営を実現することができます

ここまでは脱炭素化の重要性や取り組み方法についてご紹介しました。次章ではサプライチェーン全体で脱炭素を進めることによる企業側のメリットについてご紹介します。

サプライチェーン全体で脱炭素経営に取り組む3つのメリット

サプライチェーン全体で脱炭素化に取り組むことによって企業側は多くのメリットを享受することができます。ここでは代表的な3つのメリットについてご紹介します。

メリット1:企業価値の向上

世界的な気候変動や異常気象の発生から、脱炭素化への取り組みは消費者にとっても大きな関心が寄せられています。サプライチェーンを含め、企業が脱炭素に取り組むことは、消費者へのイメージアップを図れるため、企業価値の向上が見込めます

例えば、投資家や金融機関では[環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の3つの要素に配慮したESG投資が進められており、透明性の高い経営状態を作ることで、自然と資金が集まりやすい状況が作り出されています。

このように脱炭素経営をはじめとする環境への取り組みは企業イメージの向上につながり、長期的な投資や支援を受けやすくなるため企業にとって必要不可欠だと言えます。

メリット2:他社との差別化

脱炭素化に取り組む大手企業の中には、サプライヤにも脱炭素経営を求めるケースがあります。

サプライヤの中には脱炭素化の要請に答えられない企業もあることから、脱炭素経営の取り組みを進めることで競合他社と差別化でき、新たなビジネスチャンスをつかめる可能性があります。

メリット3:人材確保も有利に

近年ではSDGsをはじめ、環境問題や持続可能性に関する話題をメディアやSNSで取り上げられる機会が多く、若い世代の関心も高いです。そうしたことから環境問題への取り組みは、企業の若手人材確保において有利に働きます。

労働人口減少が叫ばれる日本ですが、継続的な経営のためにも、脱炭素化への取り組みをアピールしていきましょう。

以上のようなメリットは、多くの関連企業やステークホルダーと協力しながら展開することで享受できます。そこで次章では、こうしたサプライチェーン全体での脱炭素経営を進める具体的な取り組み例についてご紹介します。

サプライチェーン全体での脱炭素経営の取り組み例

日本国内においてもサプライチェーン全体で脱炭素化に取り組んでいる企業は複数存在します。以下では、具体的な取り組み例をご紹介します。

SBT達成のために:再生可能エネルギー化100%への取り組み

ある製造業企業では、「環境ビジョン2050」として環境経営における長期指針を策定し、SBT達成の実現に向けて再生可能エネルギーの活用を行っています。日本国内の全拠点で再生可能エネルギーへ切り替えることで、年間約36万トンの電力起因したCO2を無くす見込みも立てられています。

Scope3の削減のために:製造工程・配送においてCO2削減

ある食料品製造業企業では、他社の排出であるScope3に該当する原材料や包装容器などの製造工程や配送のCO2削減を目指しています。

CO2排出量の削減にあたり、パッケージフィルムサイズの縮小や製品出荷の段ボールをFSC認証紙に切り替えるなど原材料調達、物流、流通を担うステークホルダーと共同しながら取り組んでいます

サプライチェーン全体での脱炭素化を推進し、企業価値を向上させよう

2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとするカーボンニュートラルを実現するためには、サプライチェーン全体での脱炭素化を行うことが必要不可欠です。脱炭素化を進めることで、自社の企業価値を向上させることや他社との差別化を図るなどのメリットがあります。

大企業だけでなく中小企業もSBT・RE100の取り組み事例があることから、脱炭素化は企業の規模にかかわらず取り組んでいくことができます

本記事では近年注目を集めるサプライチェーンにおける脱炭素経営についてご紹介しました。他にも大興電子通信では、購買・調達部門のご担当者さまのお役立ち情報をお届けしています。


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野田 隆志
この記事を監修した人
電子契約、EDIのソリューションを拡販する営業部長を長年担務し、電子商取引に精通したスペシャリストとして活躍。
様々な業界のお客さまに対して電子契約のコンサルティングからシステム提案までを行い、お客さまの課題解決に大きく貢献している。
直近では市場のニーズが高まっている電子契約システムに関するWebセミナーの講師なども行っている。
大興電子通信株式会社
ビジネスクエスト本部
ICTソリューション推進部 部長
野田 隆志

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