企業が財務管理をするうえで欠かせない帳簿、「総勘定元帳」。本記事では、総勘定元帳の書き方や取り扱いにおける注意点、よく混同される仕訳帳との違いなど、総勘定元帳に関して押さえておきたい基礎知識を詳しく解説します。
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「総勘定元帳」の基礎知識
総勘定元帳とは?
総勘定元帳は、企業のすべての取引を勘定科目ごとに分類して記録する帳簿です。
各勘定科目の残高を把握し、財務状況を正確に分析することができます。総勘定元帳は、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成するための基礎資料として、重要な役割を果たします。
総勘定元帳を作成する目的
総勘定元帳を作成する目的は、企業が行ったすべての取引を勘定科目ごとに包括的に記録し、金銭の動きを把握することです。これにより、各勘定科目の動きをたどることができ、財務分析が容易になるメリットがあります。また、決算書の残高ミスの原因を見つけやすくなるため、正確な財務管理にも役立ちます。
総勘定元帳と仕訳帳の違い
勘定元帳と仕訳帳の違いは、記録の方法にあります。
仕訳帳は、取引が発生した順に全ての取引を記録する帳簿で、日付ごとに情報が整理されています。
一方で、総勘定元帳は仕訳帳に記録された取引を勘定科目ごとに分類して記録する帳簿で、各勘定科目の動きを詳細に追跡できるものです。
<ポイント>
総勘定元帳 ・・・ 勘定科目ごとに取引が発生した日やその取引の内容、残高を確認できる帳簿 |
総勘定元帳の書き方
ここからは、総勘定元帳の書き方について解説します。
総勘定元帳に記載される項目
まず、総勘定元帳では以下のような項目が記載されます。それぞれ簡単に内容を説明します。
■総勘定元帳の記載項目
・日付 :取引が発生した日付
・摘要 :取引における相手勘定科目
・仕丁 :仕訳帳において取引が記載されているページ数
・借方金額 :取引によって増加した金額
・貸方金額 :取引によって減少した金額
・残高 :取引後の勘定科目の残高
総勘定元帳の作成手順
次に、総勘定元帳を作成する手順について解説します。手順は大きく分けると以下3ステップに分けられます。
①記載形式を決める
総勘定元帳の記録形式を、「標準式」「残高式」のどちらにするかを決めます。どちらの記録形式を選ぶかは、企業の会計方針や目的に応じて判断することをおすすめします。
例えば、標準式は、創刊所元帳の借方と貸方の金額を別々に記載する方式です。そのため、標準式は取引の詳細を明確に確認でき、数多くの取引が発生する場合の企業に適しています。
また、残高式は借方残高と貸方残高を記載する方式です。残高式は借方残高と貸方残高を記載して常に残高を確認できる方式のため、残高管理を重視する企業に向いています。
②作成ツールを決める
手書き、Excel、または会計ソフトなど、利用しやすいツールを選びます。会計ソフトを使用すると自動で転記が行われるため、業務工数の削減や、手書き・手入力によるミスの低減につながります。
③仕訳帳から転記する
仕訳帳に記録された取引を、勘定科目ごとに総勘定元帳に転記します。日付、摘要、借方金額、貸方金額などを確認しながら正確に記入していき、各勘定科目の残高を更新していきます。
これらの中で最も時間がかけられるのが、③仕訳帳からの転記です。作業内容も複雑なため、次節で具体的に解説していきます。
仕訳帳から総勘定元帳への転記例
仕訳帳から総勘定元帳に転記する大まかな流れは、以下の通りです。
②勘定科目の選定
取引に関連する勘定科目を特定する
③転記の実行
仕訳帳の取引内容を総勘定元帳の対応する勘定科目に転記する。
日付、相手勘定科目、摘要、仕丁、借方金額、貸方金額を記入します。
④残高の計算
転記後、各勘定科目の残高を更新する。
これを踏まえ、転記例を挙げると次のようになります。
■通常の転記処理の場合
例えば、3月2日に現金1,000円を支払って事務用品(ボールペン)を購入した場合、仕訳帳には「消耗品費(借方)1,000円、現金(貸方)1,000円」と記載されます。
これを総勘定元帳に転記する際は、消耗品費の元帳の借方に1,000円を、現金の元帳の貸方に1,000円を記入します。
<例:仕訳帳における費用計上>
日付 |
摘要 |
元丁 |
借方 |
貸方 |
|
3 |
2 |
(消耗品費) |
2 |
1,000 円 |
|
|
|
(現金) |
5 |
|
1,000 円 |
|
|
ボールペン10本の購入 |
|
|
|
<例:総勘定元帳(消耗品費)への転記>
日付 |
摘要 |
仕丁 |
借方 |
日付 |
摘要 |
仕丁 |
貸方 |
||
3 |
2 |
現金 |
1 |
1,000 円 |
|
|
|
|
|
<例:総勘定元帳(現金)への転記>
日付 |
摘要 |
仕丁 |
借方 |
日付 |
摘要 |
仕丁 |
貸方 |
||
|
|
|
|
|
3 |
2 |
消耗品費 |
1 |
1,000 円 |
※上記はイメージです
■相手勘定科目が複数ある場合
それぞれの取引を個別に転記します。
例えば、3月2日に製品1台100,000円を売上げ、10,000円を現金で受取り、残高を掛とした場合、まずは仕訳帳の借方に「現金10,000円、売掛金90,000円」、貸方に「売上100,000円」が記入されます。
そして、総勘定元帳に転記される場合、現金の元帳の借方に10,000円、売掛金の元帳の借方には90,000円、売上の元帳の貸方には100,000円が記入され、相手勘定科目は諸口と記入されます。
<例:仕訳帳における費用計上>
日付 |
摘要 |
元丁 |
借方 |
貸方 |
|
3 |
2 |
(現金) |
2 |
10,000 円 |
|
|
|
(売掛金) |
3 |
90,000 円 |
|
|
|
(売上) |
3 |
|
100,000 円 |
|
|
○○商事に製品1台を販売 |
|
|
|
<例:総勘定元帳(現金)への転記>
日付 |
摘要 |
仕丁 |
借方 |
日付 |
摘要 |
仕丁 |
貸方 |
||
3 |
2 |
売掛金 |
1 |
10,000 円 |
|
|
|
|
|
<例:総勘定元帳(売掛金)への転記>
日付 |
摘要 |
仕丁 |
借方 |
日付 |
摘要 |
仕丁 |
貸方 |
||
3 |
2 |
売掛金 |
1 |
90,000 円 |
|
|
|
|
|
<例:総勘定元帳(売上)への転記>
日付 |
摘要 |
仕丁 |
借方 |
日付 |
摘要 |
仕丁 |
貸方 |
||
|
|
|
|
|
3 |
2 |
諸口 |
1 |
100,000 円 |
※上記はイメージです。
総勘定元帳の作成・管理における注意点
適切に作成・管理しないと罰せられる場合がある
総勘定元帳を適切に作成・管理することは法的義務であり、これを怠ると罰則の対象になる可能性があります。例えば、税務調査等で総勘定元帳の提出を求められた際に、正当な理由なく拒んだり、虚偽の記載をしたり、申告漏れがあったりした場合には処罰される可能性があります。
具体的な処罰の内容としては、特定の事業者を対象に加算税(無申告加算税・過少申告加算税)が最大で10%加重される場合があります。詳しくは、以下の国税庁のサイトをご参照ください。
なお、総勘定元帳の保存方法については、紙で保存する方法と、電子保存する方法があります。電子保存に関しては、以前は管轄の税務署への申請が必要でしたが、2022年の電子帳簿保存法の改正によって(2024年1月以降義務化)、現在では申請が不要となっています。
保存期間が法律で定められている
総勘定元帳は、確定申告書の提出期限の翌日から起算して、所得税法では7年間、会社法では10年間保存することが法律で義務付けられています。保存する内容としては、取引の証明となる書類や関連する帳簿の保存なども含まれます。
これらを保存することは法的要件を満たすうえでもちろん重要ですが、将来的に発生する確認作業・監査において、企業の財務の透明性を保つためにも重要です。
保存期間に関する詳細は、国税庁のサイトをご参照ください。
以上のような注意点を踏まえ、総勘定元帳を正しく記載・管理しましょう。
面倒な帳簿・レポート作成を効率化する方法
総勘定元帳は企業の財務・会計管理において欠かすことができません。また、関連帳簿の管理を含め、各取引を正確に記録することが求められ、注意すべき事項も多くあります。
そのため、取引が多い企業や担当者が少ない企業、そして管理を紙やExcelベースで行っている企業では、担当者に業務負荷がかりやすくなります。
大興電子通信では、入力業務やチェック業務の時間を大幅に削減し、入力ミスを減らして会計管理の精度を向上させる財務管理・会計ソフト「SuperStream-NX」と「GLOVIA iZ」をご提供しています。
紙やExcelでの管理で時間がかかりやすかった、帳簿や報告書の作成などをシステムによって簡略化することができます。これによって、経理業務のご担当者さまの業務負荷が大幅に軽減され、より付加価値の高い業務に時間を費やせるようになるといったメリットがあります。
詳細な機能や導入効果については、以下のページでご紹介しておりますので、財務・会計業務の効率化や精度向上にご関心のある方はぜひご覧ください。
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