現在の在庫状況を把握しておくために、棚卸はとても重要です。
そこで本記事では、棚卸に関する基礎知識から棚卸をしないことで起こる問題点や実施する際の注意点について解説します。
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在庫管理における「棚卸」とは
棚卸とは
棚卸とは、企業が所有する在庫や商品を定期的に点検・確認するプロセスです。 実際の在庫量とシステム上の情報が一致しているかを確認して、正確な在庫データを把握できるようにしたり、在庫・商品の品質評価を行って不良在庫がないかを確認したりします。
棚卸は、単なる在庫の数え上げだけでなく在庫管理の最適化や業績向上にもつながります。
棚卸の目的
棚卸をする目的は、主に以下4つが挙げられます。
■在庫数量のチェック
帳簿・システム上の在庫数と実際の在庫数を照合して、不一致がないかを確認します。 正しい在庫数量を把握し、もしも誤りがあれば修正します。
■在庫の適正量の把握
把握した数量をもとに、在庫を過剰に抱えたり不足したりといったことが起きないよう、どの時期に・何の品目が・どれくらい必要なのか適正な在庫量を判断する目的があります。
また、滞留在庫がある場合にはその処分なども検討します。
■在庫品の点検
保有している在庫品の品質・状態を点検することも棚卸の目的のひとつです。 劣化や損傷があれば早期に発見し、不良在庫がないよう管理します。
■利益計算・決済の確定
正確な在庫データをもとにして、利益計算や決済を確定します。 売上高に対する売上原価の計算をして財務会計における利益計算に用いたり、決済書の確定のために期末商品棚卸高を算出したりといった目的で活用します。
棚卸の4つの方法
棚卸には、主に以下4つの方法があります。それぞれ解説します。
■帳簿棚卸
店舗・倉庫に仕入れた数から、売れて出庫された数を差し引いて、在庫として残っているはずの数量を計算によって求める方法です。計算で在庫高を確認するため、物流を止める必要がなく、実地棚卸と比べて手間をかけずに行うことができます。
ただし、実地棚卸のように不良在庫を発見することができないというデメリットもあります。そのため、次にご紹介するような実地での在庫チェックを実施して突き合わせを行います。
■リスト方式
あらかじめ作成した在庫管理表(リスト)の数量に対して、実際に保管されている商品の在庫数が同じであるかどうかを数えながら確認する方法です。確認元である在庫管理表の数値が誤っていたり、在庫管理表上に項目の記入漏れがあったりする場合は、正しく確認ができないため注意が必要です。
■タグ方式
棚卸担当者が、商品の名前・数量を1つずつ確認して情報記入した荷札(タグ)を、実際に商品に貼り付けていき数量を把握する方法です。
リスト方式ではリストの数量に対して実際の在庫数を確認していましたが、タグ方式では実際の数量を数えたあと、リストに記載されている数量と比較するため、リストに記載漏れしていた場合でも計上漏れが減るといったメリットがあります。
■実地棚卸
実際に在庫管理している現場に赴き、現物をみて数量・品質をチェックする方法です。 システムやリスト上で数量に計上されている在庫品のなかにも、保管・運送中に破損・汚染されてしまい、使用できない在庫がある可能性も考えられるため、そういった不良在庫を発見するために役立ちます。
棚卸の時期や頻度
棚卸の時期や頻度は企業や業種によって異なりますが、棚卸は確認した在庫を棚卸資産として決算書に記載する目的で、 年度末に行われるのが一般的です。
業種/企業によっては年に数回・毎月など頻度が高いところもあり、年度末の他には四半期末、繁忙期前後などが選ばれます。頻繁に棚卸を行うことで、在庫の正確性をより保つことが可能です。
棚卸をしないことで起こる問題点
販売機会の損失リスクが増加
棚卸をして在庫量の適正化を図れていないと、在庫不足で販売機会を逃したり、想定以上に不良在庫が多くて出荷できなかったりといった機会損失リスクが増加します。
過剰在庫 / 滞留在庫によるコスト増加
在庫を余分に多く抱えることは、企業にとって余計なコストがかかります。
そのため、過剰在庫や長らく出荷されていない滞留在庫はなるべく少なくできた方がコストを必要最低限に抑えられます。 棚卸をしないと過剰在庫・滞留在庫を見える化できないため、コスト増加のリスクが増します。
提供サービスの品質低下
前述の通り、棚卸には在庫品の品質状態をチェックする目的もあります。在庫の品質状態を定期的に確認しないと、不良在庫を出荷してしまうリスクが高まるため、企業としての提供サービスの品質低下にもつながりかねません。
もし不良在庫を出荷してしまった場合は、顧客からのクレームや企業イメージ・信頼の低下にもつながります。
棚卸在庫の評価方法
棚卸在庫を評価する方法としては、「原価法」と「低価法」の2種類があります。
会計方針を安易・頻繁に変更することは難しいため、在庫評価の方法は一度決定したら基本的には安易に変更できません。そのため、それぞれの方法を理解したうえでどちらを採用するか吟味することをおすすめします。
それぞれの方法の違いについては、以下の通りです。
原価法
原価法は、在庫を仕入れた時の原価、つまり取得原価をもとに在庫金額を評価する方法です。
原価法はさらに、「個別法」「先入先出法」「移動平均法」「平均原価法」「売価還元法」「総平均法」など、さまざまな方法があります。
原価法は取得原価に基づいて在庫金額を評価するため計算が容易です。しかし一方で、在庫品の経年劣化などで価値が低下した場合に、正しく評価できないというデメリットがあります。
低価法
低価法は、取得原価をもとに評価した在庫金額と、期末におけるその在庫品の時価を比較して、低い方を在庫金額として評価する方法です。原価法と違い、経年劣化や需要変動などによる 価値の変動を踏まえて評価することができます。
棚卸をする際の注意点
最後に、棚卸に関して特に注意するべきポイントを3つご紹介します。
棚卸表は7年保存する
企業は、 棚卸の結果を「棚卸表」に記載して、棚卸の実行日から最低7年間保存することが国税庁により定められています。
紛失・破棄してしまわないよう、厳重に管理を行う必要があります。
棚卸のルールを明確に決定する
棚卸によって在庫品の数量・品質を正確に把握するためには、担当者によって在庫の数え方や記録の仕方に違いがでてしまわないよう、作業の手順・記録方法などを事前にルールとして策定しておくことが大切です。
もしも担当者によってやり方が異なっていると、棚卸をやり直すことにもつながり、結果的に時間・コストを無駄にしてしまいます。業務マニュアルなどを作成しておくこともおすすめです。
ミスを防ぐための仕組みづくりを行う
棚卸は、基本的には目視での確認と記入・入力作業によって行われるため、ヒューマンエラーが発生しやすい業務です。そのため、なるべくミスを最小限に抑えるためにも、バーコードや二次元コードを用いた在庫管理システムを活用するなど、人の手によるミスを減らせる工夫を取り入れることが大切です。
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