生産管理

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「多品種少量生産」でも、リアルタイムな進捗・原価把握を実現した事例解説 ~神津精機株式会社様~

多様な顧客ニーズに対応するための生産手法である「多品種少量生産」。

臨機応変さがメリットである一方、顧客からの仕様変更が発生することで、必要な部品が頻繁に変わる点がデメリットとして挙げられます。そして、これらの短所がリアルタイムで正確な原価把握を阻む壁となっています。

では、各社はこのような壁をどう乗り越えているのか、具体的な事例から探っていきます。

急な仕様変更が頻発。多品種少量生産ならではの悩み

多品種少量生産や個別受注生産の現場では、単一商品をたくさんつくる「大量生産」とは異なり、一つの商品でも複数の仕様を扱います。そのため、必然的に原料となる資材も多様化し、コスト管理も難しくなります。また、生産方法が異なれば資材の切り替え回数も増えるため、生産効率が低下することも考えられます。

加えて、仕様変更が入った際の影響にも考慮が必要です。一部商品の仕様が変われば、原料のみならず全体の生産計画にも影響を及ぼす可能性がでてきます。また、計画を変更するための時間も新たに要するため、全体の生産効率も低下する恐れがあるのです。

こうした背景がもたらす問題の一つとして挙げられるのが、リアルタイムな進捗管理ができないこと。全体の進捗率を一つの尺度では測ることができないため、仕様変更によってどれほどの遅れが生じるのかも判断しづらいものがあります。

もう一つの問題が、正確な原価把握が困難なことです。仕様が確定するまでに試作品をつくるようであれば、未使用の材料が出てくるケースもあります。そのため、本来の原価である純原価の算出が難しい傾向にあります。

では、これらのような問題点をどう解決すればよいのでしょうか。その鍵は、営業・設計・資材・製造・経理といった各部門の間をつなぐ「情報共有」にあります。このポイントについて、生産管理システムを活用した事例を題材に見ていきましょう。

生産管理システムを導入した神津精機株式会社様の解決事例

精密測定機器や光学測定機器の製造、販売を手掛ける神津精機株式会社様では、生産管理のシステム化を図るにあたり、既に導入済であった販売管理システムに機能追加を実施。営業と製造の効率的なの連携を目指しました。

しかし、これによってリアルタイムでの生産管理・原価把握の難しさという課題が顕在化したといいます。新システムの稼働から4~5年が経過するころには、経営層から正確な原価把握を行うための高精度なデータを求められるようになりました。

そして、複数の生産管理システムの検討を進める中で挙がったのが、個別受注・多品種少量製造向けの生産管理システム「rBOM」でした。ここでポイントとなったのが、設計部品表(E-BOM)と製造部品表(M-BOM)が一つのデータベースで管理できる点です。

「設計部品表」・「製造部品表」が統合され、情報共有がシームレス化

設計と製造の現場にそれぞれ存在する「BOM(部品表)」は、効率化の観点からも度々課題に挙げられます。E-BOMはサプライヤーの情報を含めて管理される一方、M-BOMでは中間部品も管理する必要があるため、そもそも管理方式が異なるのです。

そのため、これらの間では品目コードが統一されていないことが多く、その管理には困難を極めます。そこで、管理面の課題解決も見据えて「製番別サマリー型部品表」を採用したrBOMを導入。「製番」という管理番号を振った上で任意の階層を作成し、設計変更履歴を管理できる体制を整えました。これにより、品目の親子関係を定義しなくても、変更が生じた際に柔軟な情報管理が可能としています。

システム導入の効果とは?現場に起きた変化

rBOMの導入後、神津精機株式会社様の現場ではさまざまなメリットが見出されました。その中でも主なものは、次の示す3つの変化です。

部品の手配状況/原価をリアルタイムに把握可能

1つ目は、部品に関する情報が可視化・共有されるようになった点です。以前のシステムでは発注業務を行うことはできたものの、「部品が納品されたのか」「社内に在庫があるのか」といった状況をシステム上で確認することはできませんでした。

しかし、rBOM導入後には手配状況や原価をリアルタイムで把握できるようになったため、部品の手配の遅れや無駄な在庫の発生がなくなったといいます。

CADシステムと連携して設計情報の変更を即時共有

2つ目は、CADシステムとの連携により、設計と製造部門の協働、伝達がスムーズになったことです。例えば、顧客の要望を受けて仕様変更が発生した場合。CADシステム上の設計変更に合わせてrBOM上の設計部品表にも変更が反映されるようになったため、業務の効率化が実現しています。

システム入力のミス・手間が解消された

3つ目は、入力ミスによる誤発注などもなくなったことです。

同社の現場からはrBOMの導入後、「出庫のあいまいさがなくなり、原価管理が正確にできる」と高い評価が挙がっています。また、作業の効率化により捻出された時間で、各人の業務の専門化・高度化も実現しているようです。

今回の事例のように、多品種少量生産の現場においてリアルタイムな進捗・原価把握を実現するうえでは、各部門間での情報共有が重要になります。これらの課題をお持ちの企業様は一度、自社のBOMの管理体制を確認し、効率化のヒントを見つけてみてください。


BOMの統合により情報共有をシームレス化。
リアルタイムな進捗・原価把握を実現する生産管理システム「rBOM」については、下記よりご覧いただけます。

カタログ 製品の詳細


 

田幸 義則
この記事を監修した人
入社後15年間、長野支店にてシステムエンジニアとして活動。
運送業、倉庫業のお客さまを中心に担当し、業務システム構築からインフラ環境構築等の経験を積む。
その後、製造業のお客さまも担当し、rBOM導入のプロジェクトにも関わるように。
16年目に現部門に異動し、rBOM全国支援の担当者となる。
現在はrBOMだけではなく、製造業全般のソリューション提案を手掛けている。
料理が趣味、これからお菓子作りにも挑戦しようか迷っている。
大興電子通信株式会社
ビジネスクエスト本部
インダストリー推進部
田幸 義則
【事例で学ぶDX】BOMを統合して経営を強化、コストダウンへ

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